パーフェクトデイズ(2023) 覚え書き
劇中五回ほど出てくる白黒の夢のシークエンスはスパイス・ドリーム*並みにぶっ飛んでいて、主人公ヒラヤマ**覚醒時のシミュレートされた21世紀東京のOZU映画的なリアリティーと対峙している。
*スパイス・ドリーム。SF小説「デューン」に出てくる予知夢。
**平山は、小津安二郎の「東京物語」、「彼岸花」、「秋刀魚の味」での主人公の名字だ。主に笠智衆が演じた。
踊る浮浪者(これは主人公の幻想かもしれない)。知的障害の少年、金髪の女性と共に非現実とのボーダーラインを形成している。最後の笑っているようで泣いているようなヒラヤマの表情に至るお伊勢参り(役所広司、カンヌの主演俳優賞はこの演技で取ったのであろう。)
ヒラヤマがアパートに鍵をかけないかったり、自転車を駐車する時ロックしないところが気になった。意図的な演出であろうか。
ヒラヤマの姪の名前はニコ。本編中で二度かかるルー・リード関連で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ のニコか。ヒラヤマの仕事について行くところはヴェンダースの「都会のアリス」を思い起こされた。
TOTOがスポンサーの映画だと聞いたが、平山がトイレ清掃人だというのは仏教的だ。禅寺では、トイレ掃除をよく行う。これは、人の嫌がる仕事を人知れず行うことを「陰徳を積む」と考え、トイレ掃除がその陰徳を積むのに最適だからだそうだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?