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認知症日記(7) 地域包括支援センターの人のひと言が、小さな”おまもり”

夫は今、「要介護1」なのですが、
まだ「要支援2」だった頃は、ケアプランの作成などを、市民センター内にある「地域包括支援センター」の方が担当してくださいました。仮に、Dさんとしておきましょう。このDさんが、前回、認知症日記(6)で書いた「夫に対して、子ども相手のような話し方をしなかった人」なのです。

やがて、介護認定の更新。
Dさんから電話があり、「12月から『要介護1』になります」と、告げられたのでした。要「支援」から、要「介護」………。介護、という言葉に私は軽くショックを受けていたようで、
「そうですか」
という声に、元気がなかったようです。
電話の向こうでDさんが急に、
「大丈夫ですよ」
と、言ったのでした。軽い調子で、あっけらかんと。
「そうですよね」と私。
「はい。デイサービスに行ける日数も増えますし」
Dさんの言葉に、私は少し元気が出てきました。

とはいえ、「要支援」から「要介護」になると、担当がDさんから、「居宅介護支援事業所」に所属しているケアマネージャーさんに変わると言われました。軽くショック。

やがて、新しいケアマネージャーさんが決まり、引き継ぎ。
Dさんと、新しいケアマネージャーさん、その上司の方がうちに来ました。
顔合わせが終わると、さりげなく、あっさりとDさんは帰っていきました。
「なにかあったら、連絡ください」
という言葉を残して。
(その後、「居宅介護支援事業所」の方からの説明と契約などがあり………)

こうして、昨年12月からは、新しいケアマネージャーさんのお世話になっています。

***

Dさんの「大丈夫ですよ」という言葉は、本当のところは、具体的に何が「大丈夫」なのか、さっぱり分からないです。それに、夫の状況は(おそらく)良くなることはなく、速度の差こそあれ、悪くなる一方でしょう。
Dさんが、深刻な調子や、いかにも親身になった感じで「大丈夫ですよ」と言っていたら、私は余計に不安になっていたと思います。Dさんのサバサバとした、自然な口調に救われた気がします。本当に不思議。
なので私は、今でも時々、Dさんの「大丈夫ですよ」という声を、頭の中で再生してみるのです。





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