森野からす

夫(クマヒロ)と猫(トロロ)の、3人暮らしです。 夫がまさかの認知症。備忘録を兼ねて記…

森野からす

夫(クマヒロ)と猫(トロロ)の、3人暮らしです。 夫がまさかの認知症。備忘録を兼ねて記録します。 落ち着いて日々を過ごしたいです。

最近の記事

猫のトロロよ、仕事を手伝ってくれなくてもいいから、校正紙を踏もうとしないで

我が家の猫、トロロには使命があった。 認知症になり会社を辞めた夫の、ココロを動かして脳を活性化させ、私の精神も癒す。 しかし、以前書いたように、トロロはなかなか手の掛かる猫であった。 しかも、ものすごい「かまってちゃん」。 私は二十年くらいまえから、ときどき校正の仕事を頂いて、ほそぼそとやっている。私が読んでいる取説は、数百ページに及ぶもので、納期に余裕をもらっていても、けっこうきつい。(歳を感じる。老眼だし) 久しぶりにお仕事がきて、普段のようにトロロに構っていられな

    • 夫と猫を置いて、夜遊びに出かけた埋め合わせ

      平日の夜、友人とジャズクラブ、BLUE NOTE TOKYO に行った。言わず知れた高級ジャズクラブである。 お財布に優しくないお値段の飲み物と料理を頂き、演奏を聴く。最高。かっこいい。こういうとき、日々のバイトで稼いだささやかなお金は、ぱあっと使いましょう。家で留守番の夫には、コンビニ弁当を置いてきた。 認知症で要介護1であっても、一人暮らしをしている方もいらっしゃるみたいだけど、夫は電子レンジが使えない。微妙に心配なので、ライブが始まる直前に家に電話をした。とくに変わり

      • 落とした魂を拾いに行く、という合理的なシステム

        今でも残っている風習なのか? と、ネットで検索すると、出てくる出てくる。現役の風習らしい。沖縄では、驚いたりすると、魂(マブイ)を落としてしまうと言われているらしい。 昔、私が読んだのは雑誌のエッセイか何かだったと思う。 沖縄在住の若い著者は、交通事故に遭った。幸いすぐに退院できたが、退院するなり年長者に、 「事故のとき、魂を落としているから、すぐに事故現場に魂を拾いに行きなさい」と、言われたそうだ。 読んだとき、軽く興奮した。 なんて合理的なんだろう、と。 私はパニッ

        • 猫の胃袋の宇宙

          猫のトロロと暮らし始めて以来、繰り返し思い出す、ドラマのセリフがある。 昔、「フードファイト」というドラマで、SMAPの草彅くんが、フードファイター役をやっていたのだが、その決め台詞。「俺の胃袋は宇宙だ」である。 夫が仕事を辞めたとき、猫を招聘することにした。 うちは子どもがいない。一日中、夫と二人では気づまりだし、夫は猫が好きなので、認知症にも良いのではないかと思った。 想定外だったのが、譲渡会で出会い、引き取った猫のトロロに異食癖があったこと。トロロがうちに来た数日後

        猫のトロロよ、仕事を手伝ってくれなくてもいいから、校正紙を踏もうとしないで

          認知症日記(10) 認知症とお金の問題。銀行で「自分、認知症なんですよ」って言わないで、って言ったのに。

          お金のことは夫にすっかり任せきりだったけれど、夫が軽度の認知症だと分かり、やっと通帳を見せてもらうことにしました。すると、通帳が10冊! 「なんで10冊?」 驚く私に、 「だって、銀行が潰れたら、保証されるのは一千万円までだから」 と、夫。 しかし、残高を見ると………。要するに、解約が面倒だったんだなあ、と了解しました。とんでもなく昔の、そして遠い土地の、微妙な残高の通帳たち。 保険関係はさらに謎でした。 医療保険、火災保険、自動車保険、そして生命保険っぽいもの。書類はバラ

          認知症日記(10) 認知症とお金の問題。銀行で「自分、認知症なんですよ」って言わないで、って言ったのに。

          認知症日記(9) 「夕飯は何がいい?」と訊ねて始まった連想ゲーム

          毎日、朝昼夕の食事を考えるのは面倒くさいです。 夫に、「今日の夕飯、何が食べたい?」 と訊ねると、珍しく考える様子。 普段は「なんでもいい」で済まされるのに、何か思いついた様子です。 「あれがいいよ、台形の。ときどき作るやつ」 台形?  「うん。だいたい台形。うーん」 素材は? 肉? 魚? 「うーん」 それじゃあ、どんな味? 甘辛とか。 「甘辛」 じゃ、色は? 「白。茶色。わからなくなってきた。包んであるやつ」 えっと。じゃ、何で焼く料理? オーブン? フライパン? 「オー

          認知症日記(9) 「夕飯は何がいい?」と訊ねて始まった連想ゲーム

          認知症日記(8) 自分の生き方を決められるのは、本人だけなのだ

          夫はすべり台のてっぺんに座っている。今にも滑りだしそうだ。そんな夫の背後から、夫の服を掴んで、なんとか滑り落ちないように頑張っている私。 それが、しばらく前の私の心象風景だった。 夫の認知症が進まないように、いろいろと試した。まだ認知症とは診断されず、簡易検査で医師から「グレー、というところでしょう」と言われたときから。 彼は本も漫画も読まないし、自分から音楽を聴くこともない。趣味はテディベア作りだったけれど、何年も前にやめてしまっていた。 写経セットを取り寄せて渡してみ

          認知症日記(8) 自分の生き方を決められるのは、本人だけなのだ

          認知症日記(7) 地域包括支援センターの人のひと言が、小さな”おまもり”

          夫は今、「要介護1」なのですが、 まだ「要支援2」だった頃は、ケアプランの作成などを、市民センター内にある「地域包括支援センター」の方が担当してくださいました。仮に、Dさんとしておきましょう。このDさんが、前回、認知症日記(6)で書いた「夫に対して、子ども相手のような話し方をしなかった人」なのです。 やがて、介護認定の更新。 Dさんから電話があり、「12月から『要介護1』になります」と、告げられたのでした。要「支援」から、要「介護」………。介護、という言葉に私は軽くショック

          認知症日記(7) 地域包括支援センターの人のひと言が、小さな”おまもり”

          認知症日記(6) 認知症家族になって思うこと

          認知症関係の本に書いてあったのだと思う。医師に聞いた「なりたくない病気No.1」は、認知症だという。 一方、がん患者の方が「死ぬならがんがいい。死ぬまでに時間があるからいろいろ準備ができる」と、書いていたのを読んで、なるほどなあ、と思った。 認知症というのは、認知機能が失われていくので、かなり早い段階で「自分が死ぬまでにしておきたいこと」をやらないと、厳しい気がする。家族は毎日顔を合わせているから、ぼんやりと「あれっ?と思うことが増えたなあ」と思いながら時間が経ってしまう。

          認知症日記(6) 認知症家族になって思うこと

          認知症日記(5) 懐かしの、夫の珍妙料理、謎のどんぶり

          今は夫もすっかり料理をしなくなったけれど、かつては食事を作ってくれていました。一時期、私が鬱病になって完全ポンコツ状態だったので、家事はほとんど夫任せになり、そのまま食事を作ってもらっていました。 料理って、センスが大事らしい、と聞いたことがあるけれど、夫は残念ながら、センスなし。 栄養という概念がないらしく、肉の付け合わせが魚料理だったり、 ハンバーグの付け合わせが、豆腐ハンバーグ、とか。 あるいは、海鮮丼の汁物がクリームシチューだったこともあります。 (このクリームシ

          認知症日記(5) 懐かしの、夫の珍妙料理、謎のどんぶり

          認知症日記(4) 夫の歩き方がおかしくなったと思ったら、軽い脳梗塞でした。鍼灸院に行ってよかった。

          2年ほど前、夫と一緒に近所の定食屋で夕食を済ませた帰りに、夫が急に、ととととっと早足で歩き始めたのでした。 普段は、歩くのがむしろ遅いのに、つんのめるような早足。 「どうしたの?」 「わからない」 以来、ときどき歩き方がおかしくなった。 かかり付けの内科に行って、医師に訴えたら、 「舞踏病っていうのは、あるけどねえ」 と、とりあってもらえませんでした。 ならば。 いきなり大きな病院に行ってしまおうと、MRIのある病院に行きました。 診察を受けて説明すると、「じゃあ、と

          認知症日記(4) 夫の歩き方がおかしくなったと思ったら、軽い脳梗塞でした。鍼灸院に行ってよかった。

          認知症日記(3) デイサービスを受けるまでの、制度的な道のりは、けっこう未知のものでした

          夫の認知症がわかり、会社を辞めたタイミングで、彼が昼間、通う場所を作らねば! と思いました。 ともかく夫は、やることがないと、ぼんやりしています。 筆ペンでなぞる写経セットを取り寄せたり、ダイソーのスクラッチアートを買って勧めて、簡単なペン習字のテキストを買って渡しても、どうも続かない。 けっこう、私は必死だったのだけど、やはり、本人のかわりに趣味を見つける、というのは無理なのだなあ、と思いました。 市の広報をみると、「地域包括支援センター」に相談するように、と書いてあっ

          認知症日記(3) デイサービスを受けるまでの、制度的な道のりは、けっこう未知のものでした

          認知症日記(2) きっかけは「車を盗まれた」だった、物忘れ外来の受診

          夫は会社を早期退職したあと、週3日勤務のアルバイトをしていました。 手先の仕事で、性格に合っていたみたいです。家にいても、ぼんやりテレビを観ていることが多いので、なるべく長く勤めてほしいなあ、と思っていました。 しかし一昨年、72歳で仕事を辞めたのでした。 会社に向かったはずの夫が、 「車が盗まれた」 と、駐車場から戻ってきました。 「えっ? だって、盗まれるような車じゃないのに」 我が家はマンションにあり、駐車場は敷地外なので、徒歩2分ほど。 慌てて行ってみると、本当に車

          認知症日記(2) きっかけは「車を盗まれた」だった、物忘れ外来の受診

          認知症日記(1) 親より先に、夫が認知症になるとは、思わなかった。

          夫は私よりも20歳ちかく、年上なのです。 出会った頃、まさかそんなに年上だとは思わなかった。 結婚するときは、年の差のことは考えたものの、まあ、もっと歳をとれば気にならないかな? と思ったのでした。生後1歳と7歳では全然違うけど、41歳と47歳なら、もう似たようなものだろう、という原理で。 ところが、夫が72歳で正式に(?)認知症発症。早い、早すぎる。私の両親なんて、80代でまだ働いてるんですけど。 そして現在、74歳。要介護1です。 認めたくない。 なので、認知症「治

          認知症日記(1) 親より先に、夫が認知症になるとは、思わなかった。