2021.5.6

Tempalayの「フクロネズミも考えていた」の漫画を描き終えた。楽しくて時間が過ぎるのも早く、音楽を作っているときくらい没頭していた。

以前漫画家の榎本俊二さんが「この白紙がこれから絵で埋まるというのが信じられない」と言ってコマ割りのみの原稿をツイートしていたが、本当に描き始めるときは毎回そういう絶望感がある。

そのうえ僕は漫画家ではないから筆の進みも遅く、修正液も使わないから1ページ描くのに12時間はかかった。浦沢直樹が出ている漫勉という番組などで、各漫画家の書斎を覗き見すると、本職のスピードに感嘆する。

そういえば僕は音楽や文章にしても筆が遅い。悩んでいる時間が長くて、しかもそれが大した悩みじゃなかったと後から気づいてショックを受けるし、だいたい悩んでいることに疲れて眠る。

オンオフの切り替えがうまくない。多忙を好むのは、何かを作っている間はオンオフとかないからだと思う。

曲を漫画に翻案して描いてみるのも、ミツメの「エックス」という曲を聴いて漫画的だなと思って始めたのだが、これも思いついてから描き終わるまでの記憶がほとんどなく、最高の時間の使い方だった。

Tempalayのアルバムの収録曲を漫画にするというのは、僕が以前「大東京万博」の漫画を趣味で描いたものを綾斗が気に入って始まった企画だが、それを毎日更新するというのは大変なことだった。

MONO NO AWAREのアルバムを作りながら休憩時間にギターをペンに持ち替え、ツアーに習字セットを持って行ってホテルで墨絵を描き、ついには友人Kを呼んでアシスタントをやってもらった。

Kは故郷の幼馴染で、東京に出てきてからも一緒に暮らしていた時期があるほどの仲だが、今回はガチのマジのリアルの仕事だから、謝礼も支払うから真剣にアシスタントとしてベタ塗りをしに来てくれと頼んだ。

快諾してくれたので、彼用のデスクとペンを一式揃えた部屋に招き、いざ執筆に取り掛かったが、僕が変な気を起こしてBGMをポケモンメドレーにしてしまい、そこから2時間近くポケモンの話をした。その後もすごく彼は話しかけてきた。

やっぱそうなるかと思いつつも会話は楽しかったし、彼は持ち前の器用さで自分の仕事を果たしたが、マルチタスクが苦手な僕の机にはコマ割りのみの原稿が並んでいて絶望した。謝礼を渡すとき札をつまんだ指がなかなか離れずババ抜きあるあるが発生した。

それでもまあ、間に合ったから良かった。好意的な反応も多かったので、読んでくれた方やもちろんKにも感謝している。

「フクロネズミも考えていた」も、今後何かしらの形でお見舞いできると思います。

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