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2020.01.09 懐かしのジョリビー

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昨晩からコケコッコがおとなしいので、今朝は目覚めが良かった。

朝食を済ませたら、宿のバイクを借りて散策へ。

自分、ヘルメットが似合いすぎた。

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マネージャーはバイクの運転が初めてだったようで、乗った瞬間ウルトラアクセルターボかましててホストファザーが目を見開いて固まっていた。心底乗って欲しくなさそうだった。

でも、僕らは出発しなければならない。心配そうな顔で見送るホストのマザーとファザーに、全力の笑顔で俺は手を振った。心配そうな顔のまま手を振り返された。

楽しかった、バイクを飛ばしたのも楽しかった。風が気持ちいい。唸るような音を出すバイクに乗った僕らと、静かに走行する電気バイクに乗った女学生たちと、ガインガインと音を立てるチャリに乗ったちびっこたちと。鳥のさえずり、羽虫の音、永遠の夏休みのようだ。

しかし、すれ違うバイカーたちはみんなマスクをしていて、こんな田舎まで来てもやはり交通量が多くて空気も良くないのかな、とも思った。実際ちょっと喉がイガイガした。

あと蚊に両手刺されてへぇ〜ボタンくらい腫れたが、30分ほどで痒みはひいた。

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インストの曲は明日川辺で録ることになって、宿の近くまで戻ってきたはいいが、昼飯の場所に困り、結局昨日の昼の店に行った。閉まっていたが、散歩していたおばあちゃんに話しかけると店員たちを2Fから呼び出してくれて、食事にありつけた。

みんな昨日の焼きそばジャンクを食べたくて牛肉スープフォー1つ、牛肉焼きそば4つ頼んだがフォー4そば1が運ばれてきた。ベトナム語難しい。でも店の人は、この日もかなりGoogle翻訳を駆使してくれた。日清で働いたことがあると。もしかしてこの焼きそば日清?という疑惑が浮上したが、ベトナムではNISSHINといえば日新という工業会社らしい。

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宿に帰ってきたら、ホストファザーがやたらでかいタバコを吸っていた。ソプラノサックスくらいでかいそれは、トゥックラオというらしい。水タバコみたいな構造で、ポポポポポッという音と、牛の食う草みたいな匂いがする。

強すぎて喉をやられた。でもダメージを受けてうずくまる僕に微笑むファザーの目には、なんか通じ合った感が出ていた。

1階のバルコニーでアー写の撮影をしながら、ギターを弾いていたらホストマザーが出てきて「聞かせて」と言われた。演奏したら喜んでくれて、今夜ライブしないかと言ってくれたが、録音が終わってからということで明日にしよう、と。ライブの時はコーヒー淹れるから、と言ってくれた。

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いい雰囲気になったが、僕はマネージャーがホストマザーに「運転ノットグッド」と言われていたのを見逃さなかった。「ゲッティング・ベター」とマネージャーが返す。僕たちもレック、演奏、ゲッティング・ベターだ。

レコーディングの終了予定時刻が分からないので夕飯は外食にすると伝えていたが、結局奥田さんたちがバイクで街に出て、何か屋台ものをテイクアウトして食べることに。ちょうど「舟」のアレンジが詰まる頃に帰ってきて、1階のバルコニーで食べるとのことだったので降りていくと、ちょうどホストファザーが瓶ビールを運んできてくれていた。さっきの心配そうな顔はどこへやら、いい笑顔だ。

お礼を言いつつ、卓上の料理を見ると、ジョリビーだった。

あれは5年前のことだ。ベトナムはホーチミンから、カンボジアのプノンペンまで移動するバスで、相席になった日本人がいた。当時大学4年の彼は、バイトで金を貯めては海外に旅行するのが趣味とのことで、今回もハノイからホーチミンまで1700kmの距離をバイクで縦断して、昨日そのバイクを売ってきたところだと言う。

「凄いですね」と伝えると、彼は得意になって旅の思い出を語り始めた。北部の砂埃、大雨のドライブ、他に訪れた国々。湘南のヤンキーのような巻き舌気味の喋り方で語られる物語の数々は、どれも魅力的な話だった。

その話の途中、彼が突然「ジョリビー知ってる?」と聞いてきた。

「何ですか?」「いやジョリビー知らない?あーマジか、フィリピンまだ行ってない?」

「まだですね、え、ジョリビーって何ですか?」

「マジかあ、でもほんとジョリビーいいよ」

彼はなぜか僕から目線を外し、窓の外を眺め続けている。フィリピンの方角を見ているのだろうか。

「グミですか?」

「いやいや、あージョリビーまだかあ」

ジョリビーは、フィリピンなどでも人気のファストフードで、ハンバーガーやフライドチキンに定評がある。無駄なやり取りをしばらく続けたあと、彼はそう教えてくれた。そのせいで、彼の巻き舌による「ジョリビー」という単語が脳裏に焼き付いてしまい、いつか食べようと胸に秘めていたのだった。

こんな形で、そしてあの時と同じベトナムで、懐かしのジョリビーと初対面。たしかに薄味や独特の風味のご飯に慣れた舌には、懐かしささえ感じるジャンク感。おいしかった。いつかまたバスで乗り合わせるようなことがあれば、彼とジョリビーの話でひとしきり盛り上がるだろう。

夕飯はいらないと伝えたのに、結局夜に1Fのフロント前でジョリビー食べてる集団を目撃したホストのマザーとファザーの心中は察さないでおこう。今夜はビールを運んでくるだけのホストファザーの笑顔が眩しすぎた。

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僕は、1曲はベトナムで作ろうと思っていたので、部屋で新曲を作り続けた。成順も眠い中よく付き合ってくれたが、何度も合わせているうちに完成した。あとは歌詞だけ。

もうこの日記書くのつらいほど疲労がたまっている。こういう日記って最初だけ充実しててだいたいあとは1日2行とかになるから、一応今回は頑張って毎日書いてます。

明日は川に行って、そのあと録音。おやすみ。

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