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詰めた時間をふりかえる


道の開拓

オモクテワレル、アツクテワレル。
強そうなのに儚い土のうつわの扱いは、両方のバランスで成立しています。仕事というのは体力と精神力で完成するように。



道にあふれるもの

驚くほど安価に売られているうつわ、宝物のように扱われているうつわ、おしゃれにコマーシャルされているうつわを見ると、強そうだ、すばらしいとは思うけれど、どうしても仲良くできない自分がいるのです。

強く形成された「もの」や「ひと」のなかには、どこか儚さがあって、そこを見つめたい。愛おしいものが見つかるかもしれないのです。道にあふれているものだからこそ、もっと声が聴きたい。


★SDIM7734のコピー


厳しい道に添えるもの

窯出しを重ねると、涙なのか汗なのか、人だけでなくものからも流れるのを感じます。星の数ほどあるうつわの中から選んでもらうには、そういう気持ちを伝えていくことなのではないかと思うのです。コッチョリーノは最上級を狙いません。強さと儚さ、そういったエレメントな部分を伝え、ものごとの初心であるやさしさを添えることです。

きょうも、土を練り温度を感じ、ろくろから立ち上がる表情を見つめています。ある日は窯の厳しさに叱咤され、焼き上がった音に激励されながら、最後には研ぎ石で底や蓋のあわせをとことん擦ります。うつわを触ってこそ感じられるやさしさのために。

厳しい道がつづく世のなかで。


あとがきコッチョリーノ 

▶︎個展+オンラインであふれるほどの受注いただき、納品を重ねてきました。お待たせいたしました。みなさまの手に渡ることが心から嬉しく、ありがとうございます。▶︎陶芸だけではありませんが、仕事というのは体力と精神力で完成するもので。ありがたさ噛みしめながら、もうエネルギーが一粒も残っておらず、茹でる煮るもできず、買ってきた枝豆とお寿司を「箱のうつわコッチョリーノ 」に移し、じわっと飲みました。▶︎気持ちを切り換え、さっそく昨日から次回9月後半からの個展制作に入りました。心のコンセプトは「秋を炊く」です。毎年ご紹介してきたおいしいごはんを想うようなやさしい展覧会にしたいなと思っています。2ヶ月先すら見えないおかしな世の中で。

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