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2009年01月25日 このごろ、夢をみない。

私の仕事場、つまり治療室は、とっても静かで、日当たりが抜群。
とにかく冬の昼間は最高なんです。(ご存知の方は、納得してくださるはず)

南側は床から天井までの大きな窓で、目の前には建物が何も無い。だから、太陽が南の空を低くかすめるこの時期には、昼間たっぷりとお日さまの光が入って、暖房要らずの温室になるのです。

以前、私はずっとこの部屋に住んでいました。
なんといっても冬の楽しみは、午前中にふとんを干して、午後になったら取り込んで、そのままぬくぬくと暖かい部屋でごろごろして、夜は鍋! みたいな過ごし方だったな。
なつかしい。

というわけで、冬場のこの部屋にいると、ものすごく眠くなるのです。
おいでになられる方も、ほぼ確実にみなさんお休みになられます。
そんなときは、部屋中に眠りオーラがすみずみまで広がっていて、生粋の眠り女な私は、もうたまらなく眠くなりながら、、、それでもなんとか頑張ってストイックにひとりで黙々と動いております。

さて。そういう中で、ふっと目を覚ました方が、
「あぁー、いま夢みてた。ここがどこだかわかんなくなっちゃった!」
などと、いま見たばかりの夢を、リアルタイムで教えて下さるようなことが、わりと頻繁にあります。他にも、不眠や睡眠障害系の方々は、ときどき夢の話をなさることがあります。たぶん、瞬間的な浅い眠りは夢とつながるのでしょう。

そんなわけで、意外と私はたくさん他人の夢の話を聞いています。
でも、別に解釈とか、意味づけなんてしませんし、できません。
ただいっしょになって「へぇー!」とか「はぁー」とか、「それって一体どんなかんじ?」とか、言いながら、そのイメージをいっしょになって追体験しようとしてみるだけです。
それが、なんかたのしい。

なんで鍼灸院で夢の話なんかしてるわけ? と、不審に思われる方もいらっしゃるかもしれない。それはもちろん理解できます。
でも、なんでこうなってるのかな? 私が夢に興味を持っていて、大事にしているから、自然とそういった話が引き出されてくるのかもしれません。
(夢のことは以前ちょっと書きましたね、そういえば)

(分割しようかと思いましたが、つながってる空気がもったいないので、そのまま続けます。お暇な方、もの好きなお方だけ、どうぞお進みくださいませ)


私自身は、もうずいぶん前のことだけれど、長いあいだずっと、追われる夢、地下道や廃屋で迷子になって走り回る夢などなど、繰り返し繰り返し見ていました。ひとりでいつも迷子。

それが数年前、突然に螺旋階段の塔を上る夢が出てきたのです。
上っていくのはひとりじゃなくて仲間がいて、降りてくる人たちと挨拶したりして、上るのはしんどいけど、なんだか楽しい。そんな夢でした。それ以来、追われる夢はもうみなくなりました。

そうそう。たとえばこんなおはなし。

===

「しょっちゅう、犬に追いかけられる夢を見るんだよね。とにかく逃げるんだけど、ホントに怖いんだよ、これがまた。」

そう話す男性は、本当に相当に怖がってるみたいだ。わぉ。
そういえばこの人はもともとものすごーく犬を怖がるエピソードがいくつもあるよな、とか、象徴としての犬ってどんな意味があるかな?とかなんとか、そういったことも頭の片隅でちょびっとだけ考えながら、実際に出てくる言葉はこんな感じ。

「えーっ。そんなに怖いんですか?! へぇー・・・ で、次はどうなるの?」
「いや、だから逃げるんだってば」
「逃げて、逃げて、その先はどうなるの?」
「ひたすら逃げるだけ!」
「あー・・・ それは、なんかとってもくたびれそうですね」

ここでちょっと考える。どうしようかな。
とにかく、とてもとても繊細な方なのです。
私のことを信頼して下さって、わざわざ遠くからおいでになられている。
そういえば、目覚めてしまった夢の続きを見ることができたり、夢の中でこれは夢だってわかってて眺めてることが多いって言ってた。
たぶん、この話の展開って、けっこう大事かも・・・ などと私の乏しいアタマがうごく。

ただただ楽しんでるだけじゃない。こちらも一応プロなのです。
真剣勝負です。

「これは昔から言われてる知恵、みたいなものなんですけどね」
「なになに?」

「夢の中で、何かに追いかけられたら、逃げないで、そいつが何かをちゃんと見定めて、話しかけてみるとか、戦ってみるとか、とにかく逃げるよりも、そいつと関わってみるのが大事、って言われてるんですよ」
「えーーー! やだよ。だって、怖いじゃん」

「そりゃぁわかりますよ。怖いのは。でも、いつまでたってもずーっと怖いままでもいいんですか?」
「やだなー。だって噛みつかれたら痛いじゃん!」

「うーん、夢の中なんだから。一度くらい噛まれても、なんとかなるんじゃない?! と思うんだけどなー。
ちなみに私はね、マンモスの牙で刺し殺されたりとか、恐竜に踏み殺されたりとか、自分のお葬式を眺めたりとか、何度も何度も夢で死にましたけど、ご覧のとおり、不死身だし、ぴんぴんしてます。むっちゃ元気です」
「えぇぇーーー・・・」

「夢の中で死ぬと、現実で大変なこともあるけど、結果的には自分がバージョンアップするって、言われてます。
でもまぁそれは極端な例で参考にならないだろうから、まずは次にその夢を見たら、その犬がどんなヤツか良く見てみるってのはどうでしょうかしらねー?」

いやはや。
さて、いったいどうなるんでしょうね。このあと。

===

で、さしあたっての現実問題です。私は最近、夢をみない。
それで、困っているのです。
もうすぐ夢の分析に行くのに、宿題として持って行く夢がないんです。
それって、とっても困るんです。。。
(ま、でもきっとぎりぎりのところで、インパクトあるのを見るんですよ。たぶんね ^^;)

理由はたぶんきっと、こんなのを書いているからだと思います。
日常生活では通常アクセスしない部分を掘り起こしているので、もしかすると夢をみる理由がなくなっているのかもしれません。(そういえば、村上春樹氏は、夢をみない、らしいです。確か、河合隼雄先生との対談で話題になってたような記憶があります。へぇーーー。すごいな)


===
それから。先日から、お目にかかる方々複数に、「ブログ読んでますよ!」と声をかけられて、とても恥じらっています。
なにをいまさら、、、なんですが。
匿名じゃなく書くって、大変なことですね。
まだまだ書けそうなお題だけはたくさんあるのですが、いかがなものでしょうね?
いったい私はこのままどこまで書くのかなぁ・・・
と我ながら他人事のように、冷静に、驚いていたりもするのです。

治療家としての腕を磨くはずだったのに、いつのまにか占い師になっています。どこに行ってもしぶとく生きていたい。