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2010-08-07 感覚の記憶

あれはいつごろだったか。
とても凄惨な事件で、たくさんの方が亡くなったとき。
事件に巻き込まれた方々の顔写真と名前がニュースで流れた。

あれ??? ふとひっかかった。
もしかして???

その人の顔を、間違いなく知っていた。
どこで会った人だろう???

ああ。。。

しばらく経って、私の頭に浮かんで来たのは、
座骨神経痛の治療のために、肌を大きく露出したお尻の図。
(スミマセン。仕方ないのです。そういう治療なので…)

当時は2寸というながーい鍼を使っていたっけ。
けっこう強めにパルス(低周波)をかけていた。
そうそう。ちょっと独特の香りがするんだった。

そうか。そうだ。間違いない。

私がまだ免許を取ったばかりのぺーぺーの鍼灸師だったとき、
はじめて「自分の患者さん」として担当させて頂いた方だった。
とてもにこやかで穏やかな優しい人だった。

その方のことは、ただただ座骨神経のことしか存じ上げなくて、
お尻で思い出すなんて、本当に申し訳なかったのだけれど、
それしか記憶の辿りようがなかったんだ。
顔よりも、名前よりも、確実に残っていたのは身体の記憶。

そのままただテレビの前で、じっとご冥福を祈るしかなくって、
そのままなにもできずにいた。

そんなことをふと思い出す夏の夜。

治療家としての腕を磨くはずだったのに、いつのまにか占い師になっています。どこに行ってもしぶとく生きていたい。