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2006年8月 場所の記憶

青森県 恐山 (宇曽利山湖)

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早朝の恐山。

岸辺には、毛髪のようなものに包まれて白くて長いものが重なり合っている。

白骨だ!
どこかから流れ着いたのか、鹿の死骸。

そっと手を合わせる。

たくさんの石が積まれ、たくさんの棒が地面に挿されている。
からからと廻るたくさんの風車の音。


たくさんの願い。

そっと手を合わせる。

誰も居ない。
たくさんのトンボと私だけ。

トンボは棒に止まる。たくさんたくさん。
細くて頼りない棒に、たくさんたくさん止まっている。

そっと手を合わせる。

形がなくなっても、形を変えただけで、
やはり変わらずに、命はあるのだろう。

なんであのときあんな場所に居たのだろう?
説明できないことって、やっぱりいっぱいある。

治療家としての腕を磨くはずだったのに、いつのまにか占い師になっています。どこに行ってもしぶとく生きていたい。