人工知能の好きな技師長は「それでも技師の仕事は無くならないよ」と言った。

3月末に放射線技師の職を一旦辞めることになりました。現在は、ロボットの会社に勤めています。それに関するお話は、以前、こちらに書きました。

さて、4月に入社した後に、パシフィコ横浜で開催されていたITEMに行ってみました。

↑ITEMで集英社(放射線技師の五月女先生とグランドジャンプ編集部の方)が出展されていたので、ポスターをもらってきて、壁に貼りました。あとは磁場シールドだ。。(え

集英社の方に拙作を軽く紹介してみたりもしました。

また、先日は、神奈川 Imaging Nowという会に参加しました。

放射線技師や放射線科医の方が沢山参加される会だったのですが、主催の高橋先生も「今回は客層が全然違う」と言っていたほど、若い人、医療従事者でない方も数多く参加されていました。(私も現在は違うのですが、、)

その講演の中で、何度か紹介されたジェフリー・ヒントンの言葉は、これまでこういった会に参加されていた方々にとっては衝撃だったかも知れません。

We should stop training radiologists right now!(今すぐ放射線科医のトレーニングはやめた方がいい)

↑この動画の30秒あたりですね。Deep Learningが取って代わってしまうからだと言っています。

トレーニングを受けた医療従事者よりも、何も知らない学部生がDeep Learningの仕組みを使った方が良い結果を返すことが出来るからです。

あとは、いかにDeep Learningを使ったシステムを現場が導入していくのか、という段階にきているのでしょう。

放射線科医の仕事が無くなってしまうなら、診療放射線技師の仕事は?スイッチマンと揶揄される技師は、スイッチすら押せなくなるのでしょうか?読影の補助もAIがやってしまったら、お役御免になるのでしょうか?

しかし、現場で3月まで技師として仕事をしてきた中で、そう簡単に人の役割が無くなるようには思えません。

前職の病院の技師長は、新しいシステムの導入が大好きで、新しいRIS、PACS、遠隔読影、電子カルテの導入なども積極的に行なっていました。

人工知能を使ったCADシステムにも非常に興味・関心を持っていました。

そんな技師長がこんなことを以前言っていたんですね。

「放射線技師の仕事は無くならない。何故かというと人を相手にした仕事だからね。」

どういうことか。

診療放射線技師の仕事は、一見するとただ、撮影のスイッチを押すだけに思う方もいるかも知れませんが、そんなことはありません。「ラジエーションハウス」を読むと、それがよく分かります。

診療放射線技師は、患者さんに安全に検査をしてもらうことがまず一番の仕事です。ですので、最初の仕事は「適切な患者接遇」なのです。

CTやMRI、レントゲンといった検査を初めて受ける方、何度か受けたことのある方、頻繁に受けている方、様々なかたがいらっしゃいます。

そんな方々に、どんな言葉をかけたり、検査の説明をするか考えるのは、AIにはまだ出来ないでしょう。人の感情を見極める必要があるからです。

その点、AIはどんな究極に空気読めない人間よりも空気読めないサイコパスになりえます。対人接遇の部分は、今後もきっと残っていくでしょう。

また、検査を実際に行う前に、事前に食事をしてないか、ダメな薬を飲んでないか、機械などは大丈夫かといったようなチェックも行います。CT、MRIでは、呼吸の位相、心拍などを観察したり、造影剤の注入量、スピードは大丈夫か、血管に針先がきちんと入っているのか、などの確認を行います。

普段見ている、CTやMRIの断面画像は、診療放射線技師が色々と工夫してやっと出来た画像なんです。そして、それが正解データ、教師データになっていくのです。

これはAIに代替できるでしょうか?

本当は、そこまで現場で仕事をして、スキルを身につけていきたかったですが、別の視点から、自分は何かしら関わりたいなと思っています。

対人のところは人間がこれからも続けながら、AIという最強マシンを駆使して、最高の結果を皆さんに出せるように、特に今年は頑張りたい(頑張ってほしい)ですね!!



サポートで下さったお金は、今後の創作やライティングに活用していきたいと思います!