鼓動 -repost-
【詩】
くるくると回りながらきみ
薺を一輪手折って笑う
その花の痛みを知らずに笑う
るらるらと歌いながらきみ
ふと声を詰まらせて泣く
悲しみなんて知らないと泣く
異なる時間を異なるきみが生きて
泣いたり笑ったり過ごす
きみの鼓動にぼくの心臓が同期して
「ああ、生きている」と気づく
「赤い花」ときみが言うと
「赤い花」とぼくは気づく
「青い空」ときみが言うと
「青い空」とぼくは気づく
壊れたロボットのプラグにきみが
ボルトの異なる鼓動を注ぐ
動かない動かない手足に心は
起きあがろうとして気づく
「赤い花」ときみが言うと
「赤い花」とぼくは気づく
「青い空」ときみが言うと
「青い空」とぼくは気づく
きみのなかにいるもうひとりの誰かに
「ああ、そうだね」とぼくはうなずく
動かない動かない壊れた手足の代わりに
色のない瞳でぼくはうなずく
tamito
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