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「働く」から「働きかける」へ 〜働き方を考えるカンファレンスの5年間とわたし〜

2021年2月24日に開催された一般社団法人at Will Work主催「働き方を考えるカンファレンス2021」にて、「副業や兼業などの働き方の選択肢は変化したのか」というセッションでお話させてもらいました。

自分自身にとって「働き方を考えるカンファレンス」という、2017年に”5回限定”で始まり、2021年に終わったこのイベントがまさに自分の人生を大きく変えたと言っても過言ではないものなので、当日お話しした内容とともに個人的な振り返りを残しておきたいと思いました。

自分にとって「働く」ということ

自分自身にとって、「会社」や「働く」が変わったきっかけは2008年。
入社5年目のジョブローテーションで当時の上司にNoを伝えたところ「もう決まったから無理、あなたがいなくても会社はまわるようにできてるからね」と冗談まじりで言われたこと。

当時の気持ちは「ああ、確かに……。自分が仕事をできているのは会社の看板のおかげだし、いま会社を辞めたとしても転職などできないだろう」というものでした。
家族のことも考え、部署異動を受け入れた自分が考えたのは「社外に会社ではないつながりを作ろう。そうすれば、例えば自分の会社が潰れた時に『ウチにきなよw』なんて言ってもらえるかもしれない」ということ。

会社の仕事はしながら「副業」なんてことは一切考えずに、当時出会ったブロガーさんたちと仲良くなりたいと考えてブログを始め、イベントに参加してつながりが生まれました。
多くの人に出会う中で自分にしかできないことはなんだろうと様々な試行錯誤の中で2014年に開催した「ラクガキ講座」が周りからの評判も自分のやりがいとしてもハマり、2015、2016年には「ラクガキノート術」という本を出す機会をいただき、普段から描いていたノートがグラフィックレコーディングと呼ばれて仕事になり、「会社を辞めて独立してもやっていけるんじゃない?」と周りから言われるようになり、いわゆる「個の確立」みたいなものを感じたのがこの頃でした。

会社に勤めつつフリーランス的に飛び回っていたのもあり、いくつかメディアにも取り上げていただいたのですが、こちらの記事の内容は「フリーランスの進路相談室」という書籍にも掲載されています。

働き方を考えるカンファレンス2017のグラレコ依頼

2016年の12月、ある会社のイヤーエンドパーティで一般社団法人at Will Workを立ち上げた直後の藤本あゆみさん(以下、いつも通りの呼び方で”あゆみちゃん”と呼称)から、「来年2月にこういうカンファレンスをやろうと思ってるんだけど、そこでグラフィックレコーディングを入れたいんだけれどできる?」と聞かれ、即答で「もちろん!」と答えたのが自分にとって「働く」を見つめる新たな始まりになりました。

その頃には割と一人で様々な現場の対応はしていたものの、よくよく話を聞くと登壇者50名、参加者600名、2ステージ制のビジネスカンファレンスという、明らかに1人では対応できない内容。

考えた末に選んだ道は「これまでに出会った同じ想いを持つ人たちとチームを作ろう!」ということ。
そしてもう1エッセンス加えたのは、当時はまだ「副業」のような考え方が一般的ではなかった中で、あえて同じグループ会社で働く社員をチームメンバーにして「働き方を考えるカンファレンス」に対応したらきっと面白がられるだろうという要素。

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当初は一時的なチームの側面もあったのですが、このイベントをきっかけに様々なオファーをいただき、グラフィックカタリスト ・ビオトープという組織を作ったことがターニングポイントになりました。

それまでは自身の経験から、「組織に依存しなくてもすむ個」になることを目指していた部分もあったのですが、むしろ「自律した個を育む組織」を作ってみたい、その一手段として「本業」とは別の活動として「副業」が活用できる、そう考えるようになりました。

その後もグラフィックカタリスト ビオトープは例えば社外に開いていくなど、ゆるやかに形を変えながらこのイベントに関わっていったのですが、あゆみちゃんが「毎年なにか新しい取り組みをして欲しい!」と無茶振り(嫌いじゃないw)してきたこともいい刺激になりました。

この規模のビジネスカンファレンスでグラレコを導入したこと、デジタルでのグラレコをいち早く導入しイベントの中に組み込んだこと、その経験のおかげで急遽決まった昨年のフルリモート開催に対応できたこと、そして今年はオンラインホワイトボードツールMiroを使って、登壇者と参加者を巻き込んだコミュニケーションの場を作ることもできました。

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そして現在はこれらの経験を「全社変革」の文脈で会社という組織に還元しようとしている。これがわたしのこの5年の「働く」の概要です。

副業や兼業などの働き方の選択肢は変化したのか

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ようやくイベントでお話しした内容になるのですが、自分自身がこういった道を歩んできているので
・会社員もフリーランスも状態でしかない、大事なのは何がしたいか、何ができるか
・副業も兼業も手段の一つであって目的ではない
というのがわたしのスタンスになります。

働き方の選択肢は間違いなく変化しました
すでにその変化を自分自身が作り実践してきたからこそ、その変化の先になにがあるのか、何を目指すのかを考えていく必要がある、と思い続けてきました。

その上でシェアしたのがこちらのスライドです。

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個と組織の関係性には

1.同化:組織からの評価や期待に対して個が合わせていく
2.異化:同化を経て、他者との違いの中で自分のありたい姿を模索する
3.逸脱:スキルはもちろん、信念や価値観をベースに組織に依存しない個を確立する
4.統合:確立した個の要素をフィードバックし、新たな関係性の中で組織を革新する

という4つの段階があるというものです。

この考えは2年前に書いた記事が初出になるのですが、この頃から「個が確立した先のゴールは、組織からの独立」という”なんとなくの常識”をアップデートしたいと考え始めていました。

現在、所属する組織(本業という言い方がしっくりこない)の「全社変革」プロジェクトにジョインしたことでようやくこれを証明できるかもしれない、そんなことを感じています。

変化は個が満たされることから

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もう一つ、こんなスライドもシェアさせていただきました。
これは友人の「あふれたぶんだけおすそわけ」という言葉にインスパイアされて作った図表です。

自分自身がそうであったように、いくら「Give First」がよいと言われても、ないものを人にGiveすることはできません。
まずは自分が満たされること、それができた先に家族や友人、同僚など顔の見える相手におすそわけができる、その先に社会や世界があり、まだ見えない未来のことも考えられるようになるのだと思います。

こういった思索を通して、「働き方」という手段の話ではなく「なぜ働くのか」という目的を考えるようになり、たどり着いたのがタイトルにもした”「働く」から「働きかける」へ”というものです。

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言われてみれば当たり前なのですが、「働く」という行為は何かの価値を生み出すことです。価値を生み出すから対価をいただくことができます。

ともすれば「対価のために、生活のために働く」という考えに囚われてしまいがちですが、価値を生み出すというのは「他者や世界や未来に対して、なにかしら『働きかける』こと」なんじゃないか、というのが現時点でのわたしの結論になっています。

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この5年間、決して平坦な道のりではありませんでしたが、イベントの最後に撮った集合写真を見ながら、「働き方」「働く」そして自分たちの変化を噛み締めています。

#日経COMEMO #この5年で変化した働き方


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