【高砂鐵工】2022.03期 - 中間

以下、四季報などから抜粋。

  • 圧延専業で磨き帯鋼に強み。2輪部品事業の売却やステンレス冷延の大半撤退で業容縮小。

  • 主力の磨き帯鋼は自動車向けに戻り歩調。

  • ステンレスの住宅向けも順調。

  • 原材料費上昇は価格転嫁で対応十分。

  • 営業増益幅再拡大。上方修正。大幅増配。

  • 翌期も自動車向けを中心に数量順調。連続増益。

  • エンジン車主体の磨き帯鋼はEV対応に全力。他業種への横展開も。

  • ステンレスのエンボス製品はサイズ多様化。

【経営成績】

  1. 売上52億円。営業利益3.8億円。営業利益率7.3%で折り返し。

  2. 対前期。+16億円増収。+5.3億円増益。赤字脱出。

  3. 対計画。上方修正済み数値を売上以外は超過達成。特に営業利益率は見込みが5.7%に対して、7.3%とアウトパフォーム。

★営業キャッシュ・フロー

  • 中間時点において、+5.1億円の仕上がり。マージンが9.7%となかなか。二けたまでもう少し。

  • 対前期では+9.8億円。赤字からV字回復を成し遂げている。

  • 主な増減内訳は、税引き前利益+5.2億円、売上債権▲8.8億円、棚卸資産▲4.0億円、仕入債務+17.2億円、と言ったところ。

  • 売上債権および棚卸資産の増加は目立つものの、仕入債務でむしろプラスに。総じて良い決算に見える。

【財政状態】

  • 自己資本比率 42%

  • d/e Ratio 0.1倍。

  • 流動比率 167%

  • ネットキャッシュ+14億円。対総資産比16%超。

  • 借金はかなり少ない。キャッシュも潤沢。もっと借金してもいいくらい。

  • 時価総額23億円。売上が100億円超えの会社で、これは安すぎでしょ。

【経営指標】

  • 御覧になればわかるように、ROEがかなり良い。13.5%弱。ROICも9.9%と二けたを目前としている。製造業にして営業利益率7.3%はなかなか。

  • PER 4.9倍、PBR 0.6倍。グレアム指数で3.2倍という破格の安さ。ROEのスコアが良いのに、PBRがこれだけ安いのは不思議である。

  • マルチプルがなんと、1倍ちょい。安すぎて泣けてくる。かわいそう。

  • FCFが+6.7億円。マージンで6.3%となかなか。

  • 予想配当利回りが3%超え。にもかかわらず配当性向は15%そこそこで、WACCが2%という経済効率。つまり株価が安すぎる。

【総括】

これも典型的なバリュートラップ銘柄かと思う。
ただROEが13.5%と良いスコアなのに、PBRが0.6倍ととんでもなく安いのがちょっと不思議。
PBRもさることながら、マルチプルが1倍そこそこと衝撃の安さ。
売上100億円の計画数字を持つ会社が時価総額23億円とは何ともさびしい。
ただROEおよびPBRの数字をここから劇的に上げるのは会計・財務技術的には実はそこまで難しいことではなくて、要は相対的に自己資本を低くするために、借金をしまくればいい。
借金をしまくって、相対的に自己資本を小さくしてやることで、ROE, PBR計算時の分母がちいさくなるので。
つまり、営業努力として、利益率を追求するのは当然の前提として、あとは、借金をして自己株買いをしさえすれば、ROE, PBRは当然良くなっていき、ひいては株価もどんどん高くなります。
財務を毀損してまでやることなのか、という反論もあるでしょうが、やはり上場した企業は、株価を高くしていくということは至上命題としてあるのではないかと思います。

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