『未来』2月号掲載8首

目の前の景色はすべて生き地獄鬼などおらず人の業なり

死者たちの黒き葬列が私たちを誘ってゆく夜の果てへと

夜明け前のカゲロウたちは闇へと溶けて夢を漂う

老境の名もなき王が月の砂漠を征くエーテルの風が吹く

千の天使がバスケットするはつあきの私の不安が躍動する

コスモスが広がっていく白昼夢宇宙に咲く一輪の華

かなしみを黒壇の黒で塗り潰す白から黒へ闇が訪れる

紅葉の赤は人から流れた血の赤パレスチナに降る赤い雨