『光が漏れる』

追憶の雪野は雪月花咲き乱れ隣にいないあなたを思う

廃園に降り積もる雪白き彼岸で讃美歌(キャロル)呟く

雨が止み微かに曇る空を見た世界は続きカナリヤが飛ぶ

人それぞれが造花のように柔らかく闇の奥へと溶けてゆくのみ

感情が静かに進む湖で時は止まりて白鳥の眠り

色彩は壊れた光の痕跡 芸術家は光を操る

古のパピルスから欠けた脆きロゴスを悼む冬の言語忌

月の光に柊の花が照らされてあなたを守り時は満ちたり

永遠が幻なことに気づいたよあなたの瞳をじっと見つめる

あなたには生きていてほしいと祈っている翳した手から光が漏れる