「冬凪」

黙深くパロールの雪降りしきり言葉にならぬ言葉が積もる


声が出ないわけではない思い出せぬ白雪に消える無言の轍


何回も伝えたかったこの思い形にならず沈みゆくのみ


聞こえるだろうかあなたにはわたしが吹雪の中声抑えた慟哭の音が


闇の底を見つめていた深淵は終わることのない永遠の闇


朝焼けのレモンの黄色鮮やかにあなたのすべてがそこにあるように


祈りからすべては始まるこの世界で光に触れる影を曳きながら


名も知らぬ内なる花は今日も咲くどう生きていこう星の片隅で


少女の手から鳥が飛び立っていく空白は埋められず広がる


悲しみの果てには何があるのだろう苦しみと悔い、冬凪の日々