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「リモートワークになるとメンバーがなにを考えているか分からなくなる問題」の原因と克服

リモートワークならではの問題としてよく挙げられるのが、だんだんとメンバーがなにを考えているか分からなくなる、ということがあると思います。
今年に入って私もそれを感じるようになってしまい、今これを書いている時点では少しだけ克服できたのかもしれません。

ミーティングがオンラインになるので、毎週開催しやすい反面、マンネリ化したり、しゃべる人が固定化したり、だんだん面白くなくなっていくことを感じました。

メンバーがなにも言ってくれなくなった

そのことに気がついたきっかけは、これまで対面でやったきたリーダーミーティングを、去年からオンライン(私を含め全9名のzoomミーティング)で実施するようになったこと。

1年半前までは4カ月に1度、リアルで集まってやっていたのですが、そのころは東京・大阪・海外の各地に散らばるメンバーとの日程調整も簡単ではなく、それをオンラインにすることで、週に一度開けるようになるなど大きなメリットもありました。

一方で、オンラインに移行してからというものの、毎週、Zoomで顔を合わせていても、次第に自分が一方的に話すことが多くなっていきました。

Zoomで一見僕の話を聞いている風だけど、目線も合わないから「本当に聞いているのか?」とか、「他の仕事しているのか?」とか。だんだんと、メンバーがなにを考えているのか不安になってきたんです。

そして、ついにあるとき、メンバーから「この会議、おもしろくないです。むしろ、参加しても指摘されるばかりでつらいです」と、しかも複数のメンバーから個別に言われてしまいました。


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メンバーのことが他人ゴトに思えるように

しかし、いざ自分も「聞く立場」に徹してみると、立場上は上司なのになにも言えなくなってしまっていることに気がつきました。

これまで、対面で行ってきたときは、誰かが話している途中でも、なにか気になることがあったら「それ、どういうこと?」と突っ込んだり、「こうしたらええんちゃう?」とお互いに言いたくなるものでした。

それがオンラインだと、なにか発言したくなったとき、リアル対面のときには感じていなかった「自分が上から押さえつけている感」を感じるようになっていったんです。

だから、メンバーが何か話していても、「それってどんな意味があるの?」と、自分ゴトとして真剣になれず、なんだか他人ゴトのようなことしか言えないようになっていったんです。

そうやって、メンバーは僕に対して、そして僕もまたメンバーに対して、お互いに心を閉ざしているように感じるようになってしまいました。

対面ならできていたこと

「では、メンバーは対面だったときは僕に心を開いていたのか?」と言われると・・・ それはそれで分からないのですが(苦笑)、少なくとも僕は「ウォーク・アラウンド・マネジメント」を心がけていたとは思います。

これは、上司やマネジャーがオフィスを歩きまわって、部下やメンバーに声をかけ、そのときどきの気分やコンディションについて、気軽な会話や雑談を通じて変化を感じ取り、自分にできるサポートをする、というもの。

よく「オフィスで暇そうにしている上司ほどいい上司」とは言われますが、そうやってオフィスの空気を穏やかにしたり、お互いにそのときどきで考えていることを共有しようと努めてはいたと思います。

しかしそれが今では、たまにオフィスに行って、新しく入ってきてくれた若いスタッフと廊下ですれ違っても、顔と名前がすぐに一致しなかったり、あるいは若いスタッフのほうからも「こ、こんにちは・・・」となんだか遠慮されているかもしれないと感じるように・・・。これはとても寂しいです。


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必要なのは「知ってくれている」安心感

そのように、対面からオンラインになって抜け落ちてしまったものはなんでしょう?

僕は、対面だったときは、仕事以外のオフの場で、お互いの「今」を共有できていたんじゃないかと思います。お互いに「今」を知ってくれている間柄だから、たとえ会議というオンラインの場であっても、安心して心を開くことができた。

だけど、オフィスをウロウロ歩きまわることが物理的にできなくなった今、メンバーも僕もお互いの「今」を知ることができない状態。

これってリアルの状況に置き換えると、今の自分は「社長室でブラインドを降ろして黙々と仕事をしているようなもの」。

だとしたら、僕がどんな人で、今なにを考えているのかなんて、メンバーは知る由もありません。そんな社長が、いきなり会議で発言なんかしたら、まわりはもう黙って聞いているしかありませんよね。

リモートワークでは「意識して心を開く」必要がある

ですから、オンラインではもう「意識して」自分の今を発信する、そうやって「意識して」お互いに心を開く必要があるんじゃないかなと思います。

リモートになって、一度閉ざしてしまった心を、オフィスでの雑談で和ませることができない以上、これはもう意識して、心を開くしかないんじゃないかと。

そこで、最近、リーダーミーティングで提案し始めたのが「10分の1ルール」です。

瞬間的に心を開く「10分の1ルール」

ねらいは、会議の始めに「瞬間的に」参加者がお互いに心を開けるようになること。

そのために、会議の冒頭、アイスブレイクとしてZoomに参加するメンバーを「ブレイクアウトルーム」に分かれて、1on1をやります。
会議が1回1時間(60分)だとしたとき、そのうち6分程度を費やすので「10分の1ルール」と呼んでいます。

ポイントは「1on1」でやること。
ミーティングの最初に参加者全員でアイスブレイクの実施を工夫されていることは多いかもしれませんが、最初に1on1を実施するのはあまり無い。
リモートのアイスブレイクで大事なことは、聞くだけじゃなく「自分も話すこと」なんです。
自らしゃべることで閉じていた心が開いていきます。

その1on1で話すトピックは、仕事には関係「しない」こと。話題としてオススメなのが、僕が英会話の勉強で使っているアプリ「BBC Learning English」で紹介されていた「British Chat」です。

例えば、
・今までの人生で1番大きな失敗ってなに?
・あなたがもし一日だけ異性になれるとしたらなにをする?
・もしも一日だけ日本の総理大臣になったらなにををする?
・最近あなたをイラつかせたことってなに?
・これまでの人生で受けたベストなアドバイスって?
・最後に泣いたのっていつ?

この10分の1ルールのいいところは「会議に笑いが生まれること」です。

これは僕の肌感覚でしかなんですが、「笑いがある会議」と「笑いがない会議」とでは生産性が大きく違うように思うのです。

一度笑うと、なんだか自分の素を少し見られたような気がして、なぜか相手に少しだけでも心を許した気になる。だから、そのあとの会議でも、相手の意見に対してより安心して、より率直にモノが言えるようになる気がします。

心を開いて「デジタル心理的安全」を作ろう

繰り返しになりますが、この「10分の1ルール」のポイントは、自分と相手のお互いの「今」や気分、そのときどきのコンディションを伝えあうこと。

そうすることで、「知ってもらえる」という安心感を醸成して、意識的に、そして瞬間的に、心を開くことです。

対面で仕事をしていたときのように、なかなか気軽には雑談ってできないですよね。リモートワークでも雑談しようと思っても、そのためにわざわざお互いに時間を調整して、Zoomを設定して・・・、そんなことをしていたら、そもそも雑談じゃありませんし。

ですから、今のリモートワークがメインになった仕事の進め方においては、やっぱり「意識して」心を開く必要がどうしてもあるんじゃないかなと思います。

そうやって、離れていても、相手は自分のことを知ってくれているという「デジタル心理的安全」を作ることで、オンライン会議もまたおもしろくしていけるんじゃないでしょうか。 「10分の1ルール」、ぜひ試してみてください。

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