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篠田桃紅様への手紙

篠田桃紅様
オペラシティアートギャラリーの展覧会伺いました。
学生の頃、初めて作品を見たとき「書」だとは
思いませんでした。「大胆!素敵だ。」と。
若かったのですね言葉が出なかったのです。

それから十数年、テレビで貴女が平筆で一本の線を引いて
いるのを見て身体中がゾワッとおののきが走りました。
テレビ越しに、紙に筆を置く前の気迫が押し寄せて
一気にスルスルと筆が走る場面に息が詰まり、真剣で斬られたように、貴女の筆でざっくり斬られたように感じたのです。

そして今回、展覧会の会場はりんとした空気で張り詰めて、軽やかだったり豪胆にも思える自在な作品は、晩年になってもまだ貴女が書かずにはいられない熱気があるようでした。
篠田様、天国でも一本の線を迷いもなく筆を走らせていらっしゃるのでしょうね。 篠田桃紅様、貴女は筆に全てをかけた幸せな一生だと思っています。
かしこ

梶原メリより


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