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Maybe! vol.13 金髪男子の恋愛特集に寄せて

なぜか昔から、「一緒にいるとしんどくなるぐらいまぶしい人」ばかり好きになってしまう。
自分が獲ってみたかった学生の作文コンクールで賞を獲っているだとか、オシャレな業界でバイトをしているだとか、私が第一志望にしていた会社を「適当に受けて」入社した人だとか、憧れの芸能人の話をしたら「飲み友達だよ」と言ってくる人だとか。
そういう(あくまで私にとって)鮮烈な人に出会うといつも、自分は物語の主人公ではなくて、こういう人が世界の主人公なのだと痛感してみじめになる。
みじめになるのに、せめて、「主人公の横にいるヒロイン」になりたくて、言いたいことを80個ぐらい飲み込んで、自分を押し殺してニコニコと彼らの話を聞く。
そしてじっと、愛してもらえるその日を待つのである。
しかしもちろんそんなことで相手にされるわけもないし、私は私で勝手に疲弊してだいたい恋は終わる。

そうした恋をしている時、いつも「これこそが私のビッグラブだ!」と思っている。
私にとって「自分を押し殺し、しとやかな女に擬態する」ことが愛だと、ある時から覚悟するように思い込んでいた。

今回、金髪男子たちの恋愛観を聞いていて、「仕方ないから自分からグイグイいく」という話になかなかの衝撃を受けた。
彼らは奥手で、実は陰キャで、物語の主人公でない場面もあって。
でも、仕方なくでもグイグイいけば、それは自分の物語になる。「金髪Aくんにアプローチされる輝かしい“彼女の物語”」は「あの子と結ばれるための“金髪の俺のストーリー”」に変わる。自分の人生が、自分のところに戻ってくるような、本当はそういう恋愛こそがビッグラブなんだと思う。

私は頭皮がよわっよわなのでこの先も金髪女子になることはないと思うけど、せめて心ぐらいはバキバキにブリーチして、仕方がないから好きな人に会いに行ってみよう。

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小学館『Maybe!』金髪男子の恋愛観特集にて、Dos Monosの荘子itさん、真空ジェシカのガクさん、CUBERSの末吉9太郎さんの鼎談構成やりました、こちらはその編集後記!
6月29日発売です!

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