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海底洞窟のセンチュウ(Shimada et al. 2023)

私が関わった論文の短い紹介.

”海底洞窟から新種の自由生活性センチュウを発見,報告”

Shimada et al. (2023)は,国立科学博物館の嶋田大輔しまだ だいすけ博士が主導したセンチュウに関する研究成果です.センチュウというと寄生虫が思い浮かぶかもしれませんが,実は何かに寄生せずに単独で生活している自由生活性(自活性とも言います)の種の多様性も非常に高いです.今回は国内では自活性センチュウの報告のなかった環境である海底洞窟から採集された海産自活性種について研究を行い,名前のついていない種(未記載種)だと判断されたため,Fotolaimus cavusフォトライムス カヴスという学名で新種記載しました.

日本は南西諸島を中心に多数の海底洞窟が存在していますが,そこにどんな生物が住んでいるのかについては,一部動物群を除きあまり明らかになっていません.近年,第3著者である沖縄県立芸術大学の藤田喜久ふじた よしひさ教授の研究グループによりこれら海底洞窟の動物相の研究が進められているところで,今回の新種のセンチュウの発見はその成果の一つになります.

Fotolaimus cavusの電子顕微鏡像.正面から見るとにっこり顔(目に見えるのは感覚器).

Shimada D, Kakui K, Fujita Y (2023) A new species of free-living marine nematode, Fotolaimus cavus sp. nov. (Nematoda, Oncholaimida, Oncholaimidae), isolated from a submarine anchialine cave in the Ryukyu Islands, southwestern Japan. Zoosystematics and Evolution 99: 519–533.

doi: 10.3897/zse.99.109097
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