第三章-5項 だからストロークしなければ「十中八九ダメの法則」

(拙著の宣伝です:笑)

十中八九ダメの法則とは?

「きっと、十中八九、ダメだろう…」と思ったとき、あなたは、

「どうせダメだから、ヤメよう」

と、諦めますか?それとも、

「80%~90%の可能性は無くとも、10%の可能性がある」

と、望みをつなぎますか?

一般的に、十中八九ダメといえば、ほとんど可能性が残されていない状況を指します。

80%~90%ダメなわけですから、失敗する可能性がメチャクチャ高い。

九分九厘という同義語に至っては、99.9%という意味ですから、80%~90%どころの話じゃありません。

残されている可能性は、10%の100分の一、わずか0.1%です。


その0.1%に可能性を求めている約3,400億円もの国内市場があります。

あなたも一通くらい受け取ったことがあるダイレクト・メールです。

新しい顧客を求めてダイレクト・メール(DM)を差し出す企業のほとんどは、99.9%は反応がないと知りつつ差し出しています。

ダイレクトメールばかりじゃありませんよ?

営業職を経験した人なら分ると思いますが、電話アポイントにしろ、飛び込み営業にしろ、10件に声をかけて、話を聞いてくれるのは、一件以下。10%以下です。

わずか0.1%、あるは10%以下の可能性だからといって、その可能性まで諦めてしまうと、お客さんが増えない=売上が伸びない=利益が出ない=給料なし=米を買えない=生きていけないのですよ。

九分九厘、または十中八九失敗するから、新規の営業は、できるだけ失敗しないように、営業方法を学んだり、戦略を練るわけです。

現実的には、哀しいかな、勉強していない営業職の方が圧倒的に多いのですが、だからこそ、学んでいる営業職だけが他に抜きん出ることができる。


店舗も同じです。お店の前を10人が通るとして、店内へ入ってくるのは一人以下。10%以下です。

「それじゃ、十中八九ダメじゃん」

と諦めて、店のシャッターを開けなければ、それこそ誰も入ってきません。売り上げゼロ。おまんまの食い上げです。

十中八九ダメだと諦めていては営業にならないし、九分九厘ダメだと諦めていてはDMを出せません。

かといって、最初から諦めていたら、新規のお客さんがいなくなって、事業は左前になってしまう。行き着く先は倒産。

営業ばかりではありません。仕事をこなすにしても「こりゃ九分九厘ムリだろう」と思えるシーンに遭遇します。

そのとき、「ダメでした」というのはカンタンですし、禁句です。私も創業の頃に、顧客から、よく言われました。「ダメはダメやぞ?」と。

ダメなことは、最初から分りきったことなのです。

それを承知で頼んでいる。だから、「ダメでした」と答えるのではなく、「ダメで無くする方法があります」と、壁を突破する方法を提示するのが正解。

その方法が、たとえ「イギリス国王から口利きしてもらうしか無い」としたら、依頼者も諦めざるを得ません。

そこまで追究した答えが要ります。


お分かりになりますか?良くて、最初から十中八九ダメなんですよ。

悪くて、最初から九分九厘ダメなんです。

そんなことは先刻承知。

それを知りつつ、わずかな可能性を求めてビジネスしているのが、経済大国・日本の99.7%を占める中小零細企業の実態です。

するは失敗。何もしないは大失敗

ビジネスばかりじゃありません。
漢字検定一級の合格率は12.4%。一級建築士の合格率は10%。旧・司法試験の合格率は2%。アナウンサーの採用率に至っては0.1%以下。

最大限に努力して臨んでも、90~99.9%の挑戦者が望みを果たせない。

もう一つ、わずか1%の実例を挙げますと、国連大学・世界経済開発研究所の発表によれば、世界の人口の1%が世界の富(個人総資産1京4368兆円)の4割を占有しています。

ということは、あなたが1%の可能性を捨てる人ならば、大金持ちの仲間入りを果たす可能性はないということです。

お金持ちになるにしても、結婚相手を探すにしても、成功率は10%以下。良くて十中八九ダメ。

ヘタすりゃ99.9%ダメなんです。

何をするにしても、成功がベルトコンベアに乗って流れてくるほど甘くないことを予め理解しておいて下さいね?それが世の中の現実。

それなのに、1%がダメだからといって、最初から全部ダメと決めつけ、諦めてしまっては、100%ダメ決定。

たとえば、一人の異性に交際を申し込んで、断られたからといって、さっさと諦めるようじゃ、望む伴侶には巡り会えません。


逆なんですよ。
どうせ十中八九ダメだから、9人に声をかけて、全滅して当たり前なんです。

それでも諦めずに、残りの一人に望みを託す。999人ダメだったら、残り0.1%にかけて、あと一人に声をかける。

それでもダメだったとき、はじめて「全身全霊を傾けてもダメだった」と諦めてください。

「精一杯努力してもダメだった」なんて諦めは、0.1%の可能性さえ失われた人のみ言える科白です。

あなたの望みが叶えられる可能性は90~99.9%無いという厳しい現実を知っておかないと、望みが叶わないときに「否定された」と、マイナスに感受してしまうでしょう。

マイナスに感受することはナイのです。

たとえ、あなたが選ばれなかったとしても、あなたが否定されたわけではない。あなた以外に選ばれた人がいただけのこと。

それを世間では縁と呼びます。


じっさい、「どうせダメ」と諦めている人に限って、ダメだった結果に直面すると、「やっぱりナ」と、悟ったような顔をする。

これは「どうせダメ」というバイアス(bias:偏見)があるため。そんなバイアス、とっとと捨てちゃって下さい。

やる前から諦めている人が、プラスのストロークを放てますか?

「どうせダメ」「たぶんダメ」と、分りきったことを繰り返しつつ、何も望まず、何も動かず、人畜無害のまま老いていくことになるでしょう。

何かして失敗するのは当たり前なのです。

だから、失敗したときに痛手を負わないように、少しずつ、そろそろと、周囲へプラスのストロークを放ちながら、可能性を探しつつ、じっくり進んでいくんですよ。

失敗は当たり前です。が、何もしなければ大失敗です。

「やっときゃ良かったなあ」と数年後に悔やんだところで、もう取り返しがつきません。失われた時間は戻ってこない。

勝利の女神は、最後の0.01%まで、決して諦めない人に微笑むことを忘れないで下さいね。

合言葉は「ダメ元」

十中八九ダメなのに、「ダメで結構」と遠慮していては、あなたに幸せは訪れませんよね?

遠慮しないで、プラスのストロークを望みましょう。プラスのストロークをもらったら、素直に受け取りましょう。

わかりやすく、一つの例を出しましょう。

電車に乗っていたとき、私の隣に30代くらいの女性が一人、その隣に60代くらいの女性が一人、吊り革につかまって立っていました。

次の駅に電車が止まると、2人の前に座っていた乗客が一人降りて行きました。
目の前には空席が一つ。
すると、30代の女性が「あ、どうぞ」と、60代の女性へ席を譲りました。

譲られた60代の女性も、「いえいえ、どうぞ」と席を譲りました。譲り合いです。日本の美しい道徳ですね。

60代の女性から席を譲り返された30代の女性は、「ありがとうございます」と礼を述べて座りました。

すると、60代の女性が、聞こえよがしに、
「まったく!近ごろの若い人は礼儀を知らない」
と立腹して立ち去っていきました。それを見ていた私は目が点。


60代の女性の気持ちを察するに、もう一度は席を譲ってほしかったのでしょう。
それを断ってなお勧められ、
「そうですか。そこまで勧めるならば」

と座りたかった。三顧の礼です(一度や二度は断られても、それでも礼を尽くして招くことで、やっと三度目に成就すること)。

いかがですか?あなたは、勧められるままに座った30代の女性が正しいと思いますか?

それとも、60代の女性が正しいと思いますか?少なくとも、イヤミを吐き捨てて立ち去る行為は大人気ありませんな。

ここが日本の風習のむつかしいところです。

遠慮には、裏の意味が含まれている。しかし、三顧の礼にしても、謙譲の美徳にしても、TPO(時と場所と場合)によりますし、押し付ける道徳ではありません。

道徳を押し付けると、「これはこういうものなのだ」と決めつける一元論の源になってしまう。

では、ここで、私の得意分野であるビジネスを指標に考えてみましょうか。

少なくともビジネスでは、勧められるたびに断っているようでは、仕事になりません。

「仕事を発注したい」「ありがとうございます」と、素直に受け取るのが普通です。仕事が欲しいときは「仕事が欲しい」と手を挙げます。

そうやってコンペ(選考会)に参加したり、入札(見積競争)に参加したり、顧客との連絡を密にしたりして、皆やっとの思いで仕事を獲得しています。


日常生活とビジネスは異なりますが、遠慮もホドホドにして、欲しいものは欲しいと声をあげてみませんか?

プラスのストロークが寄せられたら、快く受け取り、素直に感謝してみましょう。

あなたから進んでプラスのストロークを浴びに行くのです。欲しいストロークが見つからなかったら、欲しいストロークを求めましょう。

たとえば服を認めてほしかったら「この服、いいでしょう?」と感想を求めてみましょう。

ダメで元々と思っていれば、「いいねえ!その服」と褒められたとき、とても嬉しくなりますよね?

反対に「褒められるに違いない」と期待していると、ダメだったときの落胆が大きくなる。

何かする時はダメ元。ダメで元々なのですから、生死をかけたチャレンジでもない限り、気楽にやってみましょう。

合言葉は「ダメ元」です。


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