黒マントの男

全ての始まりは3歳のときに見た黒マントの男だ。園庭から、保育園の建物を見ていた。
なぜこんな人が園庭にいるのだろうと思い、先生に知らせた。先生が慌てて園庭を見に行ったが、誰もいない。そんな日が2日も続くと先生はいぶかしがった。「この子、変だわ」などと言われ、ショックを受けた。

でも、私は、なぜ?見えない??
フード付きの黒いマントに身を包んだ長身の男。顔がはっきり見えたが、不気味だと思ったことを覚えている。

この出来事は両親にも伝えたが、「変なことは言うな」と言われ、益々困惑した。
当時は幽霊も生きている人間も見分けがつかなかった。黒マントの男は、結果的には幽霊だった。

正直、見えない人はばかじゃないの?と思っていた。その方向を指さし、「いるじゃん!」と周りの人に伝えても、誰も分からなかった。逆に、生きている人を指さし、「幽霊いるよ!」と言って怒られたこともある。

その頃から、お友達とだけ遊ぶようにした。先生に声掛けするときも大好きな青木先生だけにした。
そうこうしているうちに、変な子扱いされなくなった。お友達とだけ遊ぶ、これは正解だった。なぜなら、子どもの幽霊は出なかったからだ。

text by まるこ


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