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「映画かよ。」の解説かよ。 |Ep37 フランシス・ハ|最初から世界戦略

2023.1.17 update
(写真は全て駒谷揚さんから提供)

3シーズン目に入っているYouTubeドラマシリーズ、「映画かよ。」。韓国・ソウルでの撮影を敢行した「フランシス・ハ」の配信が2023年1月14日(土)午後6時から開始された。

Ep37 フランシス・ハ

「フランシス・ハ」を劇場で一緒に観たアミ(森衣里)と美帆(竹内里紗)。主人公フランシスに「共感した」と興奮気味のアミに、美帆は生返事を繰り返す。「あの女、ウジウジしていて適当だし…」と本音を漏らした美帆に対して、アミは「猪突猛進なのに、なんだかんだ一人で何もやらない」と批判を始める。その言葉にキレてその場を立ち去った美帆は、ナンパしてきた男、和田(高橋篤宏)を引き止めて愚痴を聞かせる。話すうちに、謎の荷物を託したい和田の口車に乗せられ、韓国に一人旅に行くことに。一人では怖くて観光すらできない美帆だが、荷物を渡す相手、フリーク(TJ)と名乗る男が意外にもさわやかな好青年で、一緒に時間を過ごすことに。ただ、彼の目的に勘づいた美帆は、ある行動をとる。

作るなら世界を目指せ

今回のEp 37は、駒谷揚監督がSeoul WebFestに出席するということで、一緒に参加できる人を募ったところ、美帆役の竹内里紗さんから希望が出て、「ならば」ということで、韓国で撮るために一本脚本を書いたのだそうだ。竹内さんは韓国語を勉強しているので、現地でのスタッフ、キャストの手配まで尽力したそう。

韓国つながりでいうと、正月に是枝裕和監督の「ベイビーブローカー」を観た。是枝さんらしい映画ながら、表現の繊細さよりも大胆さが優っていて、いつもよりも分かりやすい展開だという印象を受けた。もちろん外国人の役者、外国語の脚本、舞台も外国だから当然なのだが、これって韓国の映画制作の考えが反映されているんじゃないかと感じた。

ウィキでみると、フランスで撮った前作「真実」の制作会社は日、仏の数社が関わっているようだが、「ベイビーブローカー」はZIP CINEMAという韓国の会社のみ。だからカンヌ映画祭での監督、出演者の質疑応答の映像をYouTubeで見たが、僕だったら「韓国映画の制作の意向はどのぐらい強かったのか」と聞いてみたかった。

「パラサイト 半地下の家族」がカンヌ映画祭でパルムドール、アカデミー賞で最優秀作品賞、監督賞などを受賞し、BTSがアメリカでも大人気という背景に何があるかというと、韓国の5000万人という人口ではエンタメの売り上げには限界があるため最初から世界向け、つまり同じ文化背景を持たない人たちにも分かるように作られているのだそうだ。一方で、1億2000万人の人口を持つ日本では、国内でエンタメでお金が十分に回るため、世界に向けた野心、戦略を練るという考えがあまり育たない、というのをどこかで聞いたか読んだ。つまり、「ベイビーブローカー」は、世界戦略を意識した制作の意向が、作品に反映されていたんじゃないかと思ったのだ。

美帆の魅力が爆発のEp.37

今回の「映画かよ。」。言葉が違い、撮影場所も違うけど、なんだこの安定のクオリティーは、と感心したが、そもそも「映画かよ。」は、韓国映画同様に最初から世界に向けて発信しているんだった、と思い出した。

ただ、そうはいっても、「映画は世界の共通語」なんて言うは易いが、実際にさくっと国境を越えて映画を作ってしまうフットワークの軽さは、やはり駒谷監督ならではだなと感心した。それは俳優も同様で、今回、海外での撮影ながら、確かな演技力と華やかな存在感で、輝きまくっていている竹内さんもやはり世界基準だ。

今回はアミさん、意地悪でしたよ。反省してください

【「映画かよ。」公式YouTubeサイト

「映画かよ。」ウィキペディア

駒谷監督はこんな人↓

駒谷揚監督インタビュー(Danro)

「映画かよ。」に関するレビュー↓

トリッチさんによる
カナリアクロニクル」でのレビュー

Hasecchoさんによる
「映画かよ。批評家Hasecchoが斬る。」
YouTube「映画かよ。」のコミュニティーページで展開

おりょうSNKさんによる
ポッドキャスト「旦那さんとお前さん」

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