見出し画像

接続詞がわからない甥と、ビジネス書づくり

アレがひきがちという夏風邪なのか。39度の熱にうんうん唸っていると姉からLINEが届いた。小2甥っ子の国語のテストについて、「どう教えたらいいかわからない」という。どれどれ、言葉を生業にするおばちゃん、具合悪くてもがんばっちゃうよと見てみると、次のような問題だった。

次の文を、つなぎことばをつかって、二つにわけなさい。
・まさ子はせいせきひょうをかばんにしまいました。
・二学きはもっとがんばろうと思いました。

そして甥っ子の回答がこれ。

・まさ子はせいせきひょうをかばんにしましました。すると二学きはもっとがんばろうと思いました。

えぇー。

もちろん正解は、「そして」である。まあテストにするくらいだから間違える子も多いんだろうけど、案外説明しづらいなあとiPhoneを握りしめてしばし考えてしまった(頭が働いていないせいかもしれない)。
教科書どおりに教えるなら、「すると」は順接、「そして」は添加だと言えばいい。前者は因果関係があって、後者はつけ加えるだけだよと。

しかしおばは、困った。

「これ、授業で習ったからテストに出てるんだよね。この説明で理解できるなら、そもそも間違えないのでは・・・・?」

だいたい、自分を振り返ってみると「そして」と「すると」の使いわけをちゃんと考えたことがない。いつの間にか自分に馴染んでいて、たぶんテストで間違えたこともない(国語が得意だった小学生あるあるだと思う)。

もはや身体と一体化している感覚を、一体化していない人に説明するのはむずかしい。むずかしいというより、徹底したていねいさが必要だ。ざっと考えるだけでもたくさんのステップがある。

わからない気持ちに寄り添う。
相手がどこまで理解しているのか、なにがわからないのか考える。
情報をどう認知しているのか探る。
自分の「当たり前」を言語化する。
無意識や知識、事実を紐解く。
近いケースや例外、たとえ話などを用いてかみ砕いて伝える。
*これに加えて、「モチベーションを上げる」もちょいちょい入る

教える、伝える、納得させる。これらを本気でやろうと思うと、けっこう(かなり)手間がかかるのだ。だからこそ「教えることは自分のためになる」と言われるのだけれども・・・・。

で、このステップはわたしが本、とくにビジネス書をつくっていて意識していることでもある。「いまはそうじゃない人」に寄り添い、「わからない」「できない」を「わかる」「できる」「やりたい」に変えていく。そのために、できるだけていねいにページを重ねたいと思っている。

この本を手に取る人は、なにに引っかかっているのか? その引っかかりに対して、著者さんの主張をどんな道筋で伝えればいいのか? そもそも著者さんの主張ってどういうこと? なぜそうなの? どんな読後感を持ってもらうか——?

そこを雑にこなして、

「<すると>は添加、<そして>は順接。なんでかって? そういうものだからさ。まあいいから使ってみてよ」

と伝えても、読者の心はぜんぜん動かない。むしろ、反発する。ものすごく独りよがりの本になってしまう。せっかく著者さんの人生、意識&無意識の思考、行動を凝縮した本をつくるのに、それではもったいないなあと思う。なにより、読んでいておもしろくないしね。


・・・・と言いながら、その「ていねいな作業」をやる気力体力のまったくないおばは、甥っ子が情景を思い浮かべやすそうな文章例をいくつかつくり、「とりあえずこの文章を読んでおくれ」と投げたのでした。わはは。

熱が下がったらLINEします。

サポートありがとうございます。いただいたサポートは、よいよいコンテンツをつくるため人間を磨くなにかに使わせていただきます……!