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もしも「明日から会社に来なくていい」と言われたら~概略編 その1~

実のところ、それは完全に青天の霹靂、という訳ではなかった。

その会社に入社してから3か月ちょっと。給与も含めた労働環境は、当時保育園児の居た私にとって、明らかに割りの合わないものだった。ひっそりと嫌がらせ、というか今思うと明らかなパワハラをされていて(☆)、しかも相手がその小さな会社では社長に次ぐNo.2、では先が見えていた。
どちらからともなく切り出して、今月・・8月末退社かな、とぼんやり思っていた。

だが、お盆休み前の金曜の午後。近くの喫茶店に連れ出された私は、会社の求める能力に達していないので、雇用継続は出来ないと言われた。
正直そこまでは「想定内」で、「そんなもん、そっち(会社)も給料もろもろ、見合ってないわ!」と内心で毒づき、やってられんわと思いながら聞いた。
「で、いつまで?」
「明日、まぁ今日は金曜だから週明けからはもういいから。今日最後で。」
やられた。
店を出たあと、急いで労働基準監督署に電話をしたが、時刻は午後6時過ぎ。留守電のテープが空しく流れるだけだった。

こんな時でも保育園児を抱える母は、いつも通りお迎えに行かねば。
保育園に行き、ベビーカーに子供をのっけて・・・
無理。このまま家には帰れない。誰かに話を聞いてほしい。

幸い、保育園ママ友のAちゃんと連絡がとれた。
既に帰宅していた彼女は旦那さんに子供を見ててもらえるから、と一人で待ち合わせ場所にあらわれた。

「女の人の相談は、解が欲しいわけじゃない。話を聞いてほしいだけ」
と巷では言われているらしいけど、私はさっぱり当てはまらない。
「役に立たん同調とか同情とか、いらん。論理解を、くれ」
そんな私でも、この時ばかりは「ただ話を聞いて」と思っていた。

が、やってきたAちゃんは、私の話を一通り聞くと、
「明日とか明後日に、もう動いた方がいいよ」
いやいや、明日明後日って土日だし、労働基準監督署もお休みだし。
「労働者の為の機関でしょ。土日もやってるところが、必ずある筈だよ!」
そういうもの・・? そう言われると、そんな気もしてくる。
「とにかく、こういう事は、早い方がいいから!!」
繰り返し、そう言われた。
何でも、Aちゃんの職場では1年も経たずに辞めることになった人が(ただAちゃん曰く不当解雇と呼べるものではなかったらしい)、交渉の末退職金まで貰っていったらしい。

”こういう事” があると、ついつい ”結局みんな、泣き寝入りなんだよね” とか言って、どこにも居やしない ”みんな” の話で片付けてしまいがち。
でも、現実には在籍1年未満で退職金も頂戴している人がいるんだ、ひっそりと。

その頃はまだスマホもなかったので、家に帰ってからPCで検索をした。

”労働問題 ○○(←地域名)”

Aちゃんの言っていた通り、週末にやっている相談機関があった。
何も出来ず鬱々とした週末、を覚悟していたけれど、やれる事があった。
ほんの少しだけ光を感じ、でも憤りの残り火を抱えたまま眠りについた。

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