メーテルリンクの「青い鳥」は、アンパンマンのルーツだった。

日本のアニメの代表作のひとつ、やなせたかしの「アンパンマン」ですが、自己犠牲の象徴として、じぶんの顔をお腹のすいた子供たちに食べさせるという善行をすることで有名です。

アンパンですからね。食べたらおいしい。顔を全部食べられても、また再生するので大丈夫らしいです。
これはやなせさんのオリジナルのアイデアかと思っている方もいるかもしれません。でも、「青い鳥」のなかにしっかりとありました。
チルチルとミチルが最初の冒険にでかけるときに、ミチルが「おなかがすいた」といいます。すると、妖精が擬人化したパンにむかって、こういいました。

「そのトルコふうの衣装をぬいで、おなかを一切れ、子供たちにやりなさい。」

江國香織訳

パンは妖精のいうとおりに、服をぬいで、腰にさした三日月刀でからだを二切れきりとって、子供たちにわたします。
それをみていた砂糖も、よろしかったら飴の棒もいかがですか、とじぶんの左手の指を一本ずつ折り、これも子供たちにわたすのです。ミチルは指を折るなんてかわいそう、と心配しますが、砂糖は意に介さずこういいます。

「折ってもすぐにまた生えてきますから、かえっていいくらいなんです。新しい、きれいな指が手に入るわけだから。」

擬人化したパンと砂糖のおこないは、そのままアンパンマンの世界につうじていますね。やなせさんは「青い鳥」は読んでおられたでしょうから、このシーンにインスパイアされた可能性は高いとわたしはかんがえています。

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