元システムエンジニアだった私がデザインチームに入って学んだこと
こんにちは。NTTデータのデザイナー集団「Tangity」の中野です。
私は2022/7よりサービスデザイナーに転身し、Tangityの中でも主に金融業界のお客様を対象として、UI/UXの検討、社内外でのビジネス創発支援を行っています。
サービスデザイナーに転身する前は、損害保険領域の代理店向けシステムを担当するシステムエンジニアとして、中小規模プロジェクト推進を行うプロジェクトマネージャーの立場で仕事をしていました。
そんな私がデザインチームに入って学んだ、サービスデザインで大切なことをお伝えしたいと思います。
手法よりも目的が大事
1つめの大切なこととして、「手法よりも目的が大事」ということです。
そもそも「サービスデザイナー」とは何をするのか、求められることは何か?を調べてみると一般的な回答として以下が出てきます。
この説明に誤りはなく、むしろ、正しいことを記載していると思いますが、私は当初、少し抽象的な表現だと感じていました。
いつ誰に何を体験してもらうのかによっても、顧客体験は毎回異なることもありそうですし、それを成功へと導くために、決まったやり方があるわけでもないなんて、どのようなことを行うのが正解なのか分からず、やり方・進め方ばかりに囚われてしまっていました。
まさに、その問題を身に染みて感じた経験があります。
以前、社外企業のお客様向けのワークショップ運営をする際、「自身の働く企業の抱える問題・課題を解決し、新たなビジネスを考える」を目的にアイデア創発やビジネスモデル検討を行った際、私はサブファシリとして、全体進行のサポートをしておりました。
後日、今度はとある大学生向けにワークショップ形式での講義を行うことになった際、「地方の地域や地域住民の抱える問題・課題を解決し、新たなビジネスを考える」を目的として、今度は私がメインファシリで進行するとともに、講義の進行資料を含めた全体設計も担当をしました。
学生向けの講義設計をするうえで、以前携わった社外のお客様向けのワークショップ資料に少しだけ手を加えるだけのほとんど流用で臨もうとしたとき、サポートをしてくれた先輩デザイナーから
「なぜこのワークを実施するのか」「なぜこの手法を用いるのか?」
を問われ、私は明確な理由を即答することが出来ず、ターゲットや目的よりも手法を優先して考えてしまっていることに気づかされました。
同じ「新たなビジネスを考える」といった趣旨のワークショップを設計するうえでも、ターゲットは"企業に勤める社会人"なのか"大学生"なのか、テーマは"自身の働く企業に関して"なのか"地方の地域や地域住民に関して"なのか、必要なワークや手法をテーラリングしながら、目的達成のための実行プロセスをくみ上げることが重要であると改めて感じました。
自分の中の常識を疑う
2つめの大切なこととして、「自分の中の常識を疑う」ということです。
私がデザインチームに入り、新たな価値を生み出すような仕事をしていく中で、自分にとっての常識や当たり前に囚われない発想をもち、「バイアスを掛けずにあるがままを見る」ことが大切であると感じています。
そのきっかけは、とある行員さんと会話したときに知った"上司に出すハンコの押し方"についての業界マナーに衝撃を受けた経験があるからです。
複数人の承認が必要な稟議書などへの押印時に、
①左斜めに傾ける ②まっすぐ押す ③右斜めに傾ける
のうち、どれが正しいマナーだと思うか?を問われたことがあります。
私の常識としては②で当たり前と感じていましたが、「部下が上司にお辞儀をするように見える」という理由から①が当然のマナーという銀行もまだまだ少なくないといいます。
このマナーは電子書類にも適用されており、「電子印鑑」にも左に傾ける機能があるといった話も伺いました。
一部の銀行だけのマナーかもしれませんし、あるいは銀行をはじめとした金融業界だけでなく、その他の業界にとって当たり前なのかもしれませんが、少なくとも私はそのような慣習は聞いたことはありませんでした。
このような誰かにとって「当たり前」なことも他の人が見る場合や、はたまた同じ人にとって月日が経つと「当たり前」ではないことは多々あると思います。
ハンコに関する行員さんとの会話を通じて、自分の常識は他人の非常識になり得ること、それはすなわち、誰かに価値を提供する際にはその人の価値基準に真摯に耳を傾けることが重要であると改めて感じた経験でした。
最後に
今までにない、新たな価値を生み出すためには、何も全て目新しいことを生み出すだけではなく、古い業態×新しいサービスを掛け合わせるなど、少し今までと違う見方や組合せをすることで今までの常識を疑うことも有用だと思います。
デザインチームに入り、サービスデザイナーとして活動をするうえで、自分だけではなく、組織の常識すらも覆すような取組をしていきたいと考えています。
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