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陰翳礼讃を読んで

陰翳礼讃とは
谷崎潤一郎の名作である東洋人の美意識について考察されている本であり、建築の分野から画家、音楽家の人にまで影響を与えている本です。
私なりに解釈し3つの要点について考えてみました。

美は物体そのものではなく、物体が作り出す陰影にこそある
物体だけが存在していても美しさというものを感じることはできないと思います。これは当たり前のことですが、モノづくりを仕事にしていると忘れてしまいそうな事であり、本の読むと東洋人の価値観であることに気が付きました。
自分が考え出した建築が周りにどのような陰を作り、その陰の中に何を思い浮かべる様な建築になるのかを想像しながら、形を考えるのとそうでないのとでは、出来上がった建築が作る陰には大きな違いができると思います。
内部も外部も同じことで、特に内部にできる陰には多くの可能性が有ることを認識することが出来ました。

②闇を作り出しその闇に自分の想う美を想像する。
東洋と西洋では青空の色にも違いがあると他の本でも読んだことがあります。西洋での太陽光線は力強くまっすぐで、小さな窓でも室内が明るくなることは想像が付きます。これは気象条件なども異なる西洋と東洋の根本にもある地域柄の特性のようにも感じます。
東洋での太陽光線は柔らかく乱反射した光の様に感じます。小さな窓では室内の奥まで届かせることが出来ないため、住まいの中全てを照らすことは辞め、建築が作り出す陰にすら美を想うようになったのだと思います。
更にはあえて闇を作り出しその闇にも美を見いだすのが私たちです。

③文化や文明は発祥地のそれを色濃く残す。
陰翳礼讃では黄色人種と白色人種では、その白さにも違いがあることが書かれていました。どれだけ日に焼けないように過ごそうとも、黄色人種ではその肌の白さの中に微かな淀みのような部分があるという事です。このような特性もまた、闇の中に美を見いだす文化につながっているのではないかという事でした。
西洋の太陽光は力強く、東洋の太陽光は柔らかい。文化や文明にその土地の特性が根付くのは当たり前なので、光や太陽への考え方も地域によって差が出る。その差が美意識への違いも生み出しているのではないかという事です。そういう意味では今の私たちの暮らしは本来の日本の地域性を活かしづらい環境になっているようにも思います。

陰翳礼讃のリンクです。もし読んだらコメントで感想を教えてください。
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