見出し画像

事業に差別化は必要ない

先に謝っておくが、タイトルは盛った。正確には差別化は極めて重要だが、必須ではないという話だ。

社長から「他社と差別化しろ!」と怒られたり、「勝てる理由は?」なんて言われたり、「君が社会に貢献していることは何?」なんて問われるビジネスマンが多いだろう。

私自身もサラリーマン時代はよく「なんでうちが勝てる?」「競合と違うポイントは?」なんて上司から詰められた。その度に差別化ポイントを探し戦略を考えたりしたが、業界初心者である私はユーザーインサイトを見抜き、本当にニーズのある差別化ポイントなんて見つけられるはずがなかった。

ただ自社やコンサル先で色々な事業構造や実績値を見たり、違う業界の経営者の話を聞いたりするうちに、差別化がなぜ重要なのか、いつ必要なのかがわかってきた。私の結論はタイトル記載の通り「差別化は必要ない」だ。

え?と思われる方も多いだろうが、最後まで見てほしい。きっと差別化に悩んでいるあなたの腑に落ちる言語化ができているだろう。

そもそも差別化が必要な理由は?

差別化が必要な理由を考えたことはあるだろうか。考えたことのない方は今考えてみてほしい。おそらく、下記の理由などがよく挙げられるだろう。

・競合に勝つため
・顧客インサイトに刺すため

もちろん上記は間違いではない。ただもう1つ掘り下げ、なぜ競合に勝つために差別化をしなくてはいけないのか?という問いに答えられる人は少ないだろう。もちろん答えはマーケットにあり、上場企業のIR資料を読み漁れば一目瞭然だが、そんなわかりきったことを書くつもりはない。

この理由を事業構造から分解して書いてみる。ほとんどの事業は下記サイクルで成り立っている。

【顧客サイド】
集客→成約→継続→ファン

【組織サイド】
応募→採用→継続→成果

では、差別化は上記のどこに効果をもたらすのか。私は「集客」だけだと思っている。もちろん何を差別化するのかによって「継続」や「採用」に効果が出ることもあるだろうが、微々たるケースがほとんどであり、差別化をしろという経営者が求めている成果はほぼ「集客」だろう。

競合との差別化が集客に及ぼす影響

ビジネスにおいてTTP(徹底的にパクる)というバズワードがあるが、差別化と対局にある。では"差別化をしない"と仮定して、A社と全く同じアプローチ・予算・ブランド力で商品を販売したと仮定して、新規顧客はどちらに着くだろうか?

商品のアプローチ数(PV数)・CVR・成約率が全て同じであるなら、1:1となるだろう。実際、以前の携帯キャリアは国の法律で3キャリア(au・Softbank・docomo)以外の参入ができず、3社とも同じような販売方法・コンセプトとなり"差別化"など一切ない状態となった。結果として売上はほぼ三等分した。

つまり完璧にパクリきれれば、新規顧客は全く同じ配分になる。そこに差別化などは必要なく(正確には差別化してもすぐパクられる)、シェアを折半できる。では現実に、競合の多いレッドオーシャン領域で事業者分の売上を折半できているかというと、違うことは明白だ。

ではなぜレッドオーシャン領域で集客数や売上に大きく差が開くのか。結論、「集客力」である。この集客力が具体的に何を表すかは下記記事を参考に自分で考えてみてほしい。

https://note.com/tanimari_taiga/n/ncb1150002364

私はこの集客力において、レッドオーシャン領域では大きく2つの重要要素があると考えている。「完全新規獲得率」と「既存新規獲得率」だ。

※完全新規獲得率・既存新規獲得率ともに、私が勝手に作った言葉のため、もっと良い言い回しがあればこっそり教えてほしい。簡単に用語解説をすると下記の通り。

・完全新規獲得率:同業界のサービスを一度も利用したことのない顧客数 / 同業界のサービスを一度も利用したことない人数
・既存新規獲得率:競合サービスを利用したことある顧客 / 競合サービスを利用したことある人数

この中で「既存新規獲得率」、近い言い回しだと、競合から顧客を奪い取る"リプレイス"する数を最大化するために、「差別化」がようやく必要となる。なぜなら競合によほどの欠陥がない限り、サービスを変えるのはユーザーのデメリットでしかないからだ。

つまり、リプレイスできるだけのユーザーインサイトを刺す差別化ポイントを用意できれば、差別化は「集客力」において非常に強い武器となるだろう。逆に、差別化がユーザーニーズのないものであれば、むしろマイナスになる可能性もある。

そのため、私は最初から差別化を考えることをおすすめしない。よくスタートアップ界隈では「課題解決」や「ユーザーインサイトを刺す」・「ユーザーペインを知れ」などと言われているが、初めからそんな物が見つけられ実行できるレベルの課題なら、既存の事業者がパクリ返し意味のない施策となる。

そんなことを考えるより、完全新規獲得率をどう増やすか?自社の強みや資産を活かしたアプローチで集客数を増やせるか?を考え、実行したほうが確実に成果は出せる。さらに事業運営を重ねていくうちに嫌でも業界の課題やインサイトを知ることになり、"本当にユーザーインサイトを刺せる"差別化ができるようになっていくだろう。

補足だが、レッドオーシャン領域で革新的な差別化をしたサービスは、なぜか同じようなタイミングで複数社入り込み、2〜3社ほどが生き残ることをマーケットの歴史が証明している。(この理由がわかる人はこっそり教えてください。)

私はこのことを、一度企業が成熟したらリプレイス(差別化)することは難しいことを示していると考えている。なので差別化するより、今できることをやり切ることのほうが100倍大事だと思う。

例に挙げると、我々のいるフィットネス業界では、短期集中RIZAP社が"ジムは痩せない"というユーザーインサイトを"痩せるにコミットする"というコンセプトで強烈にジム業界を刺し、売上は瞬く間に1位となった。

ただ実は、このコンセプトはトータルワークアウトという前身のジムのパクリだった。でもRIZAPが1位となった。この差は「どちらがやり切ったか」に尽きると考えている。

ちなみに私はフィットネス業界の5年後について、3つ仮説を立てている。月間50万PVを超える業界最大級ジムメディアを作ったり、パーソナルジム向けに経営コンサルをしたり、パーソナルジムを16店舗テスト出店したりし、検証はほぼ完了した。おそらくこの仮説は未来の現実となるだろう。私の考えに賛同してくださるビジネスマンの方が入ればぜひこのタイミングで一緒にお仕事をしたい。一緒に未来のフィットネスリーディングカンパニーを創ろう。ぜひ連絡をしてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?