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房総の地名に「富」が多いのは偶然か


私、前回は房総半島の植生が気になるというブログを書きました。
房総で見られるモサモサした木の正体はスダジイだったという話ですね。

さて、植生以外にも私は気になることがあります。

それは、房総半島の地名です。房総には「富」がつく地名が多くないか、と思うのです。

高速道路で木更津から館山方面に行くと、よく分かると思います。
東京方面から木更津JCT、木更津南JCT、君津ICT、君津スマートIC、富津中央IC、富津竹岡IC、富津金谷IC、鋸南保田IC、鋸南富山IC、富浦ICと、富がつく地名が沢山並んでいます。富津、富山、富浦。何か関連はあるのでしょうか。
さっそく調べてみました。

1.富津

大きく突き出た富津岬が有名な市です。近日中に記録を書こうとしているJR竹岡駅もこの富津市内にあります。

市のHPによると、富津市の地名の由来は4つほどあるそうです。
古い港という意味(古津/ふるつ)、突き出たところを表す古語(ほと)、海に身を投げたヤマトタケルの奥さんの袖が漂着したから(布流津/ふるつ)、富津岬を刀に見立て、その刀を振る擬音(ふつ)の転訛ではないかと言われています。
ほとについては詳しく考察したいところですが、チョット人前では話しにくい話題なのでやめておきます(笑)

...ということは、富津に「富」がつくのは偶然のようです。「富」は縁起のいい字なので、この字を充てたくなる気持ちはわかります。

竹岡駅から

2.富山

字面だけ見ると「とやま」ですが、この場合は「とみやま」です。現在は合併して南房総市の一部となっていますが、かつては富山町という1つの町でした。町の中心には南総里見八犬伝の舞台となった山、富山があります。ちなみに山の方の読みは「とみさん」です。ちょっとヤヤコシイ。

さて、富山は房総半島南部を開拓した天富命(あめのとみのみこと)という人物に由来すると言われているそうです。この天富命は阿波国(あわのくに・現在の徳島県)出身で、阿波では穀物や麻を栽培していました。

しかしある時、もっと良い土地がほしい!ということで同じ阿波出身の忌部(いんべ)氏を連れて、黒潮に乗って房総半島に辿り着きました。移住した忌部氏が住んだところが安房国(あわのくに・現在の千葉県南部)と呼ばれるようになりました。
要は、開拓地に自分の出身地の地名を名付けたようなものです。北海道の地名みたいな話です。 

ちなみに、黒潮に乗って辿り着いたと書きましたが、黒潮は黒潮沿岸部の文化に大きく関わっています。黒潮文化圏といい、この文化圏内では地名や風習などに共通点が見られます。本当は詳しい話を書きたいのですが、チョット文章量が嵩んでしまうためやめておきます。

3.富浦

リゾート地として有名な場所です。富浦もまた、富山町と同じく元は1つの町でしたが、現在は南房総市の一部となっています。

富浦の由来は、「豊富な海産を願って新たに定められた村名」だそうです。
え。。。思ったより単純明快な由来で驚きました。北海道登別市にある富浦と大して変わらない由来ですね。瑞祥地名ってヤツです。

JR富浦駅の溢れ出すリゾート感

まとめ

結局、富津、富山、富浦の3つの房総半島東海岸の地名に「富」という字が入るのはそれぞれ全く異なる理由だと分かりました。タイトルの問いの答えはYESです。偶然です。

ちなみに、北海道の長万部町と岩見沢市を結ぶJR室蘭本線には、栗山駅、栗丘駅、栗沢駅と「栗」が入る駅名が連続する箇所があります。これは偶然ではなく、3駅の周辺に栗がたくさん生えていたからだそうです。単純すぎ(笑)

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