仏教徒であることについて

ー最近taniyangさんが「最近仏教徒としての自覚が出てきた!」と急に言うようになったそうですが、そこのところを詳しく聞いてもいいでしょうか。

そうですね。私って昔は宗教とかスピリチュアルとかむちゃくちゃ毛嫌いしていたんですけど、人生で色々な経験をしているうちに、仏教がすごく自分に合うものだと感じてきて、今は自覚を持って在家の仏教徒をやってる感じです。

ー・・・。それはアレですかね。失礼かも知れませんが、人生で苦労した人が宗教にハマっちゃう的なアレと捉えていいんでしょうか。taniyangさん、仕事やキャリアで色々精神的にも苦労してるみたいだし、そういうのの可能性もあんのかなって。

んーそう言われるとそうなのかも知れないけど、そうでもないかなぁと。一応フォローすると、仏教徒といっても、教科書に出てくるような道元さんの曹洞宗や、「弘法も筆の誤り」の弘法大師空海さんの真言宗とかを中心にやっている感じです。いわゆるカルトではないんですが、こういうのって説明というか証明が難しい問いですね。別に「仏教こそが正しい!他は間違ってる!敵だ!」みたいなヒステリックなアレとかも全然ないですよ。

ーふむ。初歩的ですみませんが、曹洞宗と真言宗ってどういう宗派なのでしたっけ。

曹洞宗はいわゆる禅宗の一つですね。禅宗にも色々あるんですけど、曹洞宗は「只管打坐(しかんたざ)」って言ってとにかく座禅するのが大事って言ってる宗派です。有名な話だと、スティーブ・ジョブズが座禅していたのもカリフォルニアの曹洞宗の坊さんのところだったみたいです。

ー茶道も禅と関係ありますけど、その関係ですか?

茶道と関わりが深いのは臨済宗という別の禅宗ですね。禅問答とかいう言葉があるけど、そういう言語的なやり取りで悟りを目指す宗派。公案(こうあん)って呼んだりします。

ー真言宗というのは?

真言宗は高野山で有名な、空海さんが開いた宗派ですね。私は菩提寺(自分ちのお墓があるお寺)が曹洞宗なので曹洞宗を大事にしてるんですが、それだけだとどうもわからないことが多くて、もうちょっと仏教全般のことを理解するために、真言宗のことも勉強してます。まあ、宗派なんてのは、そんな気にしなくていいと思うんですけどね。

ーえっ。そんなこと言っていいもんなんですか?宗教って、結構宗派のルールとか違いとかすごい厳しい気がするんですけど。

個人で勝手に考えて信じる分についてはある程度自由にやっていいんじゃないかなって思ってます。他人に強制したらダメだと思いますけど。

ーんー、あれですか?やっぱり人に布教して信者を増やす、みたいなのもやるんですか?ノルマみたいな。

私は全くしないです。ていうか、普通そういうのってないんじゃないのかなって思ってて。宗教って基本的には自分と神仏の間の関係というか。それに、何を信じるかは、信じないという選択肢も含めて、個人の自由が尊重されないとダメなことだと思います。そういう意味では、布教とかはしないけど、自分のアイデンティティになる宗教をそれぞれ大事にしてほしいなという思いがあります。仏教じゃなくても、神道、キリスト教、イスラム教、など、それぞれ自分のアイデンティティやご先祖様を大事にしてほしいです。信仰のおすすめというか。

ーなるほど。それがtaniyangさんの場合は仏教だと。

あ、ちなみに神道も信じてるので、家は神棚があります。毎日神棚と仏棚を拝んでますよ。

ーへ〜、そういう感じなんすね。

個人的には、我々のじいちゃんばあちゃんくらいの世代の暮らしに戻ってるような感じなんですよね。昔って、仏壇でご先祖様や仏さんに拝んだかと思えば、神棚にもお祈りしてたと思うんですよね。私もそれと同じことをやってるというか。

ーあんまり我々の年代で「私は仏教徒です」って人はいないと思うんですけど、仏教徒って普段どういう生活してるんですか?

仕事とか買い物とか基本的な部分は普通と変わらないと思います。仏教徒らしいところでいうと、ほぼ毎日お経や真言唱えたり、座禅したり、戒律に従ったり、基本的にはそのくらいかなぁ。お寺や神社に割とよく行くってのはあるかもですが。

ー戒律ってすごいっすね。どういう内容なんすか?

このへんは宗派とか人によってお違うし、独学の自己流になっちゃってるんだけど、真言宗でいう「十善戒」っていう戒律に従っています。内容をざっくりいうと、殺生しない、盗まない、不適切なみだらな関係を持たない、うそつかない、でたらめなこと言わない、悪口言わない、二枚舌を使わない、むさぼらない、怒らない、誤ったものの見方をしない、みたいな感じです。不殺生を続けてるんで、普通に蚊とかつぶしちゃう人見たら結構びっくりしちゃいます。

ーえ、でも肉普通に食べますよね。それは大丈夫なんすか?

めっちゃ食べます。なんだろ、そこは説明難しいんですが、殺生している自覚をしっかり持って、いただくときはしっかり感謝していただく、みたいな。屁理屈と言われたら何も反論できないんですけど、人間って何かの命を奪わずには生きられないじゃないですか。お米や大豆みたいな植物だって命ですから。なので、殺生している自覚をしっかり持つのを大切にしています。

ーふーん。わかったような。

出家したお坊さんなんかではだいぶ徹底した不殺生をやってる人もいます。いわゆる精進料理ですよね。それをすることによって、仏教本来の目的である人格向上がより達成できるという部分はあると思います。人間にとって人格向上はもちろん大事なんですけど、結局大事なのはその人がその人生で何をするために生まれてきたかだと思うので。

ーお、急に本質っぽい話。詳しく聞かせてください。

これも私も独学からの解釈なので話半分に聞いてほしいんですが、仏教的には人間というのは輪廻転生といって何百回何千回と生まれ変わり生まれ変わりしている存在で、何か目的をある程度掲げて、それを成し遂げるために生まれてきてるって考えます。何かを学びに来てるとか、カルマを返したりとか、そういうことをするために生まれてきています。

ーカルマってのがちょっとよくわからないっす。

よく因果応報といって、非常にざっくりいうと、たとえば悪いことしたらその報いを受けて反省しなければいけない。良いことをしたら良いことが返ってくる。最終的な究極の目標である解脱(げだつ)、これは様々な人生を経験し切って輪廻転生を終了することですが、解脱に至るまでにカルマを返す必要がある。っていうのが現時点での私の理解です。このへんはまだまだ勉強中なんですけど。

ーふーん。なんかいきなり輪廻転生とか生まれ変わりとか出てきてすごい宗教というかオカルトっぽくなってきた。

まあ、仏教徒以外でも、そういう魂の循環みたいなのを信じてるところは結構あると思います。ネイティブインディアンとか、いわゆる普通のスピリチュアル系の人とかも。

ー何か、仏教徒特有の信じてることとかもあるもんなんですか?

んー、まあ、これも説明が難しいですけど、仏様は信じてますね。観音様とか、阿弥陀さんとか。

ーなんかオカルトな感じもしますね。

まあ、自然科学全盛の現代ではそうなのかも、、、うーん、そうなんですかねぇ。でも、一昔前までは普通に信じられてたと思うんですけどね。それこそ数百年ってレベルじゃないくらい長い間信じてこられてきたことで、この数十年とか100年とかの自然科学の歴位でいきなりひっくり返せることでもないと思うんですよね。

ーなるほど。

まあ、「じゃあ仏が実在することを実証してみろ!」とか言われても困るので、強いていうなら、「現代の科学ではまだわからないけど実はいるかも」みたいな感じですかね。可能性を消さないための仮説というか。そういう仮説があった方が豊かだと思うんですよ。ほら、地動説って今は当たり前だけど、それがちゃんと理解されるには自然科学の進化が必要だったわけじゃないですか。これって別に自然科学的なものとか実証主義的なものを全否定しているとかでもないんですよ。現時点でわかるものとわからないものを分けて捉えてるって感じです。

ーまあ、わからんでもないです。んで、仏教徒としてこれからどうしていきたいとかあるんですか?

究極的には解脱・悟りとかになるかもですけど、基本的にはこの人生をワクワクして生きたいってところですかね。

ー意外と普通ですね。

まあ、普通なことほど難しいってのはあると思います。あとはまあ、仏教の修行をしていくと「自分も偉大な仏様の手足として世のため人のために頑張ろう」みたいになるところがあるので、そういう利他的なことを自分もやりつつ、利他的な人を増やすってのもやりたいですね。こういう利他的行為全般を仏教用語で「布施」って言うんだと理解してるんですけど。

ーあ、布施ってそういう意味なんですね。てっきり教祖にお金を納めるみたいなことかと(笑)

いやーそのへんは現代の宗教に対するよくないイメージの象徴みたいなとこありますね〜。人間側の都合で勝手に定められたルールですよね。宗教と関わるときは、「これってお釈迦様もいいと思うだろうか?」とか「イエス・キリストならこれを認めるだろうか?」って、自分なりに開祖に立ち戻って考えるのが大事だと思います。そうじゃないと道を誤ると思うなぁ。

ーそういうもんなんですかね。そろそろ時間も迫ってまいりましたが、他に今後についてなどありますか?

仏教徒としての今後の活動はさっき言ったようなお経読むとかそういう地味なことかなぁと思っています。お経もたくさんあるし、それ以外にも勉強しなきゃいけないこと多いですし。あとはその他の関心領域との関わり、たとえば茶道とか能楽とか、そういうところとの連携もしていきたいなと。日本文化って仏教の影響がものすごくありますからね。あと、仏教というか日本の精神文化の一つの現れである神仏習合や修験道に関心があるので、このあたりもちょっと学んでみようかなとも思っています。

ー本日はお話をありがとうございました。また心境の変化などありましたら、お話を聞かせてください。


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