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Mo#33 結果発表「芋」

Tanka Place Moでは
新月と満月の日に歌会を更新しています。
今回は「芋」の短歌への投票結果と
コメントを発表いたします。

...


1.
あなたはポテトサラダのハムになりなって龍が煙をはく年賀状
田中大貴 6点

純「ポテトサラダのハムになってどうなるんだよ笑、でもその年賀状欲しい。。」2点
阿竹亭呆然「口語自由律短歌的で面白い、上手く干支も読み込んでいる。」1点
山彦「いがいせいが面白い」1点
花曇り「ポテサラのハムと年賀状の龍という組み合わせが斬新で面白い。」1点
乙女「龍が煙をはく年賀状・・の台詞にノックアウトです。言葉がどれだけ力を持って魅了するかですね。学ばねば。」1点
南さよ「ポテトサラダは脇役になっている」
田中大貴「あなたとポテトサラダとハムの関係、龍と煙と年賀状の関係、そしてわたしたちの関係。それらがかわいく結ばれるものであればうれしい。」


2.
美しい甘いおいしいそれなのに君の評価で変わる一言
福良 椋(ふくら・むく) 1点

P_P 1点
花曇り「前半と後半で微妙に噛み合ってない感じがする。」
福良 椋(ふくら・むく) 「最初「芋」を「竿」と見間違えてしばらく悩みました。
今回はあえて献題を表に出さないように作ってみました。」


3.
火が着けばバターのやうに君の事液化させたし吾はじゃがいも
陀弥阿 5点

猪之丞「「君を液化させたい」の喩法は面白いです。蕩かすだけではない、混ざり合い舌で味わい、胃に納まる。不本意に分離していた2つの要素が、本来あるべき姿に戻って行く時にエロスが生まれるのかもしれない。燃え上がっているけど下品ではない、このジャガイモさんに少しお騒がせな魅力を感じます。」3点
阿竹亭呆然「初期の俵万智みたい。こんな感じに気軽に短歌に多くの人に触れてもらいたい」1点
南さよ「ポテトから見る発想がユニーク」1点
花曇り「熱々のじゃがいもにバターが溶ける……美味しそうな関係です。」
陀弥阿「ジャガイモとバター、ベストカップだと思います!」


4.
太陽の味閉じ込めて十三里カタカナ名の洒落たスウィーツ
南さよ

花曇り「後半部分がなぞなぞになっている?」
南さよ「栗(九里)より美味い十三里。いろんな名前のスウィーツになっています。これって個性が強すぎないから?」


5.
しやうもなき痒みを逆手にとりまして肥後芋茎(ひごずいき)と呼ぶ張り型は生る
乙女

花曇り「その用途の発見にロマンがあります。」
純「肥後芋茎ってなんなんだと、調べました。なるほど、伝統的な性具なんですね。知らないことや言葉を知ることができる短歌は、端的に良いと思います。ひごずいきっていう響きがいい。前半575の表現がそのまますぎて惜しいのかなと感じます。」

6.
カルビーのポテトチップス富士山で膨らますなら君は何味
冬不純黄昏 3点

南さよ「実際は膨らむのか分からないが発想が面白い」1点
シモムラ アキラ「気圧でふくらむんですよね」1点
田中大貴「具体的な味がしなくて酸欠な気分。もっとあなたのことが知りたい。」1点
花曇り「CMのキャッチコピーになりそう。私は『しあわせバター』で。」
純「味かわると膨らみかた変わるんかな。僕はうすしお味で。」冬不純黄昏 「理科便覧の資料で皆が見たあの写真に嘘がないかを確かめる必要があると感じたので友人と富士山の山頂にポテトチップスを持ってゆくと決めたが大きな問題に直面。何味を持っていくのか。」

7.
さつまいも掘ってみなけりゃ分からないあの喜びを子らとワクワク


花曇り「小学生の頃さつまいも掘りをした時のワクワクを思い出す。」


8.
男爵かメークイン 男か女
いいえ私はインカのめざめ
アーイ・アイ 6点

冬不純黄昏 「二句と三句で七五の音が崩れているところがアクセントになっており、読んでいて面白かったです。」1点
阿竹亭呆然「ジャガイモの品名を上手く読み込んで、それでいて歌になっている。狂歌みたいで面白い。」1点
福良 椋(ふくら・むく)「うまいっ!。」1点
乙女「・・ジャガイモの種類を並べただけなのに、男と女の言葉を入れただけで、とてもセクシーなイメージになりました。性欲のめざめであったり、性感のめざめであつたり、こう感じたのは私がへいすけだからかも?」1点
陀弥阿「言葉の使い方とアイデアがすき」1点
P_P 1点
南さよ「芋満載 結句で駄目押し」
花曇り「高級じゃがいも……その辺のじゃがいもとは違うの私、という感じ?」


9.
焼き芋の屋台の声が遠ざかる幼き記憶を掘り起こしつつ
シモムラ アキラ 3点

シモムラ アキラ「焼き芋~♪ 石焼き芋~♪ お芋♪」
酒井宜仁「焼き芋屋台のピーと云う音が今にも聞こえてきそうです。」1点
花曇り「昔は石焼き芋のトラックが走っていた。今はコンビニでも買えるけど、トラックを追いかけてた当時が懐かしい。「掘り起こす」は芋にもかかっているのかな、と◎」1点
ゆかり「光景が目に浮かぶようでした。上句と下句がよく響き合っていると思いました。」1点


10.
肉じゃがにポテサラとろろジャガバター大学芋を読んで満腹
猪之丞 2点

しゅくるん「わたしも読んでておなかいっぱいになりました😋」2点
花曇り「芋料理の羅列、読んで満腹??とろろが気になる。」
乙女「ポテサラとろろジャガバターのリズミカルに魅了されます。言葉ってリズムであり力だなあと思わされました。」


11.
雨の中こいで進みし続く道
映画目指して芋窪街道
あふろひめ

あふろひめ「「芋」から珍しく食ではなく街道の名前が浮かんで離れず!
コロナ禍電車を控えレディースデーを利用する為雨の中カッパ着て2時間自転車こいだ芋窪街道を詠みました(´∀`)」
花曇り「漕いだら進むし、道は続くものなので他の言葉でもう少し具体的な表現ができそう。」
純「芋窪街道って味のある地名ですね。」


12.
冷めていくマックポテトは免罪符もう少しだけ紛れていたい
花曇り 7点

斎川都「人が紛れるのは人の中だろうけど、しなったポテトの中に紛れ込んでいるとしたらちょっと可笑しくて切ない」2点
福良 椋(ふくら・むく)「余韻が残る。冷え切ってしまう前に会えたらいいね。」1点
南さよ「説教愚痴を聞いている。チップスに視線を落として。まさに兼題を活かしきった。」1点
陀弥阿「誰と一緒にいるのか気になる。免罪符って言葉でとくに。」1点
田中大貴「ためされたあとはきっと気怠くて甘い。だからもう少しでいいんだ。」1点
P_P 1点
花曇り「冷めたポテトのパサパサ感さえも愛しい。」


13.
君の寺から貰った大きな里芋を食べずに庭に植える
毎年大きな葉が茂るだろう
阿竹亭呆然 1点

酒井宜仁「長岡の米百俵を思い起こされます。」1点
花曇り「「君の寺」を「君を納骨している寺」と読んだ。全体的に説明っぽく、破調の効果が薄れている。着想◎」


14.
懐かしき亡き母の味芋煮かな甘醤油煮にてコトコト煮ては
酒井宜仁

花曇り「母の味を思い出しながら芋煮を作る、芋煮を食べて母の味を思い出す……そうやって繋いでいくものの温かさを感じる。」
乙女「下の句でリズムがもたもたして立ち止まらせる。そこがの想い出であり味わいだなあ。」
酒井宜仁「私の実家は里芋の名産地でもあります、母が亡くなり44年経ちますが、時折、無性に芋煮が食べたくなる日があります。」


15.
小説の 芋粥片手に 喫茶店
時も忘れて 読み耽るなり
しゅくるん

しゅくるん「昔、芥川龍之介にハマっていた頃がありました。
携帯電話もないころ、よく喫茶店で文庫本読んだなぁ~と思い出しました。」
花曇り「「時も忘れて」と「読み耽る」が近すぎるのと『芋粥』にすれば文脈から小説とわかるので別の言葉に置換えて色んな表現ができそう。」


16.
クリスマス芋づる式になってやる貴方のミライ紡いでみたい
山彦

花曇り「ちょっとよく分からなかった。」
乙女「ミライをミイラと読んでしまう捨て台詞。芋づる式に延々とあなたにしがみついて、未来を紡ぐんじゃなくて妨害してやりたいのよ~~。絶対にミイラにしてやる~~。」


17.
あなたともほころびたくてやわらかい安納芋を手土産にする
ゆかり 2点

しゅくるん「温かい気持ちになりますね。」1点
斎川都「シンプルに幸せ🥰」1点
花曇り「「ほころびたい」のチョイスが◎。「やわらかい」の表現は他の言葉でもよさそう。」


18.
水よりも安いビールと山盛りの芋だったよね卒業旅行
斎川都 4点

冬不純黄昏 「日本でペットボトルに入った水を買うよりも安い料金でビールが飲める国へ旅行した、という仲間内でいつまでも思い出となるエピソードが鮮明に浮かびました。「〜だったよね」の部分で、一人ではなく友人と行ったのだ、と読み手に自然に理解させるところが上手だなと思います。」1点
福良 椋(ふくら・むく)「何かわかる。あの頃はお金が無かったが楽しかった。」1点
シモムラ アキラ「北海道でしょうか」1点
純「多分色んな名所にも行った中で、山盛りの芋が記憶に残ってるんだろうなというのが、旅行の楽しさなんかも感じさせて良いです」1点
花曇り「唐突に卒業旅行をぶっ込んだ印象。安いビールと山盛りポテトで主体像は大体伝わる。モノローグ的な卒業旅行の記憶か、誰かと思い出を語らう場面なのか視点をはっきりさせるとよかった。」
斎川都「ヨーロッパ旅行あるある!
毎食じゃがいもと格闘…」


19.
じゃがいもの
熱さはふはふ
身に染みる
炊き出しの湯気
豚汁の味
すーさん@ヘタレドライブ 2点

花曇り「「炊き出し」で状況が伝わる◎身に染みるのは人の温かさも同じ。豚汁のじゃがいも、熱いですよね。」1点
田中大貴「それは大切にしたい思い出。それとも、怖くてめざめてしまった夢のあとのよう。」1点
すーさん@ヘタレドライブ「阪神淡路大震災の時の様子です。僕は地震に遭い1ヶ月程避難所生活をしました。一番寒い時期だったので炊き出しの、メニューはありがたかったです。」


20.
堪えてた力をやをら手放してほろりと崩れゆく馬鈴薯よ
純 4点

冬不純黄昏 「芋をほくほくにしてくれる、火という文明への感謝さえ感じます。」1点
シモムラ アキラ「茹でる前と後がうまく擬人化されています」1点
陀弥阿「北海道出身の自分は想像出来て好きな歌です。」1点
ゆかり「保とう、堪えようとしている時は内圧が高まってふと崩れる瞬間が訪れたりします。泣いてしまう時のきっかけって意外にもささやかな事であることも多い気がします。そんな瞬間を馬鈴薯に見たのかなと思います。やをらによく出ていると思いました。」1点
花曇り「意味としてはわかるけれど場面が伝わりにくい。」
純「カレーやおでんのじゃがいもがどうしても崩れていくことに想いを馳せました。」


21.
芋食って ぷぅすかぷぅん 親も子も
食べて温もる 両手と心
P_P 2点

酒井宜仁「晩秋寒い中、ホクホクの焼き芋で体と心が温まる感じがします。」1点
ゆかり「気兼ねない親子の心あたたかい景だと思います。」1点
花曇り「アニメみたいなコミカルさ◎」
乙女「ぷぅすかぷぅん・・おならみたいで楽しい言葉だね。」


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「芋」の歌会に参加いただきありがとうございました。
次のテーマは1月26日(金)に発表を予定しております。
どうぞよろしくお願いします

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