見出し画像

『サービス産業生産性向上入門』

・サービスとは、貢献・奉仕・給仕といった人間の行動、ライフラインや通信・交通など社会の機能、また軍役など幅広い意味を持つ言葉である。国語辞典によると「人のために尽くすこと」とあり、人と人との連携や協力の一部が産業化され経済活動に組み込まれたものだと理解できる。

・サービスの定義
 ①プロセスとしての「無形性」
 ②生産と消費が同時進行する「同時性」
 ③在庫できない「消滅性」
 ④人によって違いが生じうる「異質性」

・生産性とはインプットが分母でアウトプットが分子として表現される。製造業では生産性が明確である。一方でサービス産業ではアウトプットの価値が顧客ごとに決まる。またインプットの対象がモノではなく主にヒトなので、インプットを削減するとアウトプットの内容自体が変容することが多い。なので、いかにアウトプットされるものの価値を高めていくかが重要。

・顧客にとっての価値とサービス提供の効率化の同時追求がサービス・イノベーション。実際のサービス現場で安定的に運用できる、信頼性の高いこれまでに確立された技術の組み合わせを「サービス工学」と呼ぶ。観測→分析→設計→適用の流れをサービス現場で繰り返す、要素技術の組み合わせと最適化の方法論を「最適設計ループ」と名付けた。

・サービス工学の目的
 ①具体的なデータで評価し、客観的根拠に基づくサービス提供の実現
 ②「見える化」による、サービス品質や顧客満足の向上・作業効率の改善
 ③規模の拡大や複雑化・変化に対応し、生産性を維持向上させる仕組みの構築

・サービス・イノベーションによる効果
 ①サービス品質の「ムラ」を解消し、顧客満足やロイヤリティが向上
 ②サービス提供の「ムリ」が減少し、従業員満足やスキル・定着率が向上
 ③作業の「ムダ」をなくし、顧客価値につながる作業へ集中

・生産性向上やイノベーションに先進的に取り組んでいる企業では、提供するサービスの内容や現場の作業を、リアルタイムにサービスを受けている顧客の要望や嗜好に反映させている。これを「顧客適応」と呼ぶ。そして、顧客の要望や嗜好の理解を通じて、サービスの内容を見直しサービスプロセスを変革して、提供方法の仕組みを構築している。これを「仕組み化」と呼ぶ。

・この2つの機能は、さらに5つの要素に分解できる。
 ①現場の理解(会話・カメラ・計測・アンケートなど)
 ②業務の改善(整理整頓・提案・実験・検証・ムリムラムダ排除など)
 ③連携と協力(会議・情報システム・多能工化・チームワークなど)
 ④価値の再評価(新しいコンセプト・理念明確化など)
 ⑤プロセスの組み替え(手順化・平準化・レイアウト・物流見直し・研修など)

・作業の効率化で生じる余力で、顧客満足につながる行動に集中できる。また、肉体的負担軽減で定着率が高まりスキルも向上する。マニュアルや手順書でサービスを平準化し、安定した顧客満足を獲得した結果、リピート率が向上する。

いただいたサポートは旅先で散財する資金にします👟 私の血になり肉になり記事にも反映されることでしょう😃