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■人生いろいろ(2)丸川珠代、小林賢太郎、水道橋博士……

ものすごい量のゴミの山から、テレ朝『完売劇場』『東京腸捻転』のDVD8作が出てきた。ほとんどセロハン包装のままなので、視聴してない。売れるかも、と思って拾い上げ、写真を撮ってメルカリにUPしようと思ったが、中身の確認のために一応再生してみたら、ものすごいのが収録されていた。

『朝まで生テレビ』のセットで芸人たち+丸川珠代(当時はテレ朝のアナウンサー)が「お笑い論」を戦わせるという企画。
司会は水道橋博士。
パネリスト席に座るのは、小林賢太郎・片桐仁(ラーメンズ)、劇団ひとり、マキタスポーツ、玉袋筋太郎(浅草キッド)、ダンディ坂野、檜山豊・与座嘉秋(ホームチーム)、そして当時テレ朝アナウンサーだった丸川珠代と番組プロデューサー・雪竹弘一という面々。

パネリスト10人+司会で総勢11人

20年後に伏線回収された「ポスト森問題」

司会役の水道橋博士は、冒頭で「ではさっそくみなさんにはポスト森問題を……」とボケてみせた。

DVDには2005年発売の記述がある。
「完売劇場」が放送されていたのは2000年4月~2009年3月まで。森喜朗が首相を辞めたのが2001年4月だから、おそらく2001年後半くらいの収録で、DVDになって発売されたのが2005年なのだろう。

電話受付係(ただの背景)は全員水着女性。そういう時代だった

水道橋博士が冒頭で振った「ポスト森問題を」というボケは、20年後に見事に伏線回収?される。

20年後、森喜朗は、失言問題などがきっかけで五輪組織委員会会長を辞任。
森喜朗ら自民党のボスたちに気に入られて出世していった丸川珠代は、森に代わって組織委会長になった橋本聖子の後釜として五輪担当相になった。

丸川はこの討論では大した発言をしていないが、とにかくテレビに出させろと主張する劇団ひとりらに向かって「テレビの世界はそんなに甘くない」と釘を差す。
その劇団ひとりに「嫌いだ」「かっこつけてる」と名指しされたラーメンズの小林賢太郎は、終始うつむき加減で、番組後半で発言を促されると、テレビ界に馴染めないことなどをボソボソと告白し、浮いていた。

後半までまったく発言しようとしなかった小林賢太郎

小林賢太郎は、20年後、ゴタゴタ続きの東京五輪の開会式の演出に起用されたが、この収録より数年前の1998年5月発売のビデオソフトにナチスのホロコーストをいじったくだりが一瞬入っていたという、完全に言いがかりのような非難を浴びて、本番直前で解任された

「この人も問題起こすんですよ」と予言するかのような丸川

論戦本番は国会に持ち込まれる?

司会役の水道橋博士は、今年参議院議員になり、今では丸川とは完全な天敵同士。
今度は国会議員同士として『朝生』のスタジオで再戦してほしいものだ。

↑↓当時から火花を散らしている関係?

「小林賢太郎が嫌いだ」と公言していた劇団ひとりは今では映画『浅草キッド』の監督をやるなど、芸能界で完全に成功を収めたかに見える。
NHKの番組に出るときは芸名を変えさせられたという玉袋筋太郎、劇団ひとり以上に終始ヤバいやつに徹するマキタスポーツ、ラーメンズが事実上解散した後の片桐仁、今もまったくキャラや芸が変わっていないダンディ坂野、ホームチームの与座らは、与えられた仕事をこなし続け、今ではEテレを含むNHKの番組やドラマにも登場している。

まさに人生いろいろ……これはなんかもう、日本の放送娯楽文化史、テレビ芸能史の歴史資料みたいなものかもしれない。

それにしても、森喜朗という人は迷惑な老人だ。才能豊かな若い世代をつぶし、政界に性悪女たちを量産し、はびこらせる。
ここにいる若者たちは、そういう腐りきった日本のテレビ芸能世界で生き残ってきた強者たちなのだな。

それぞれのやり方で生き残り、自分の居場所を作ってきた面々。すごいね。






こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。