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レコードの日

今宵の担当:noriです。

今日はレコードの日だそうです。
昨今のアナログレコードブームに乗って制定されたような印象がありますが、日本レコード協会によって制定されたのはなんと1957年!11月3日である理由は「レコードは文化財」ってことで文化の日と同じにしたそうです。

こじつけ感もありますが、この頃はレコードは大変高額、ロックも黎明期、クラシックやジャズがメインでしたので、「文化財」と言うのも頷けます。あ、邦楽は流行歌と歌謡曲でしたか。それも文化ってことで。あ、ロックが文化でないとも言ってませんが(汗)1957年当時はそうだったでしょってことで。

ここ数年はアナログレコードのプレスの会社、東洋化成さんの音頭で「アナログレコードの祭典」としてレコードショップとメディアにより、盛り上がりを見せておりますが、長らくレコード業界にいたにも関わらず最近まで存じ上げませんでした。

制定した時点ではCDはなかったのですがレコード(記録媒体)と言う意味ではCDもレコードで、日本レコード協会が制定したのだからCD登場後はCDも含まれて然るべきなはずなんですが、CDのセールスも厳しくなった今や「アナログレコードの祭典」と言う着地点で良い感じになっているようです。

CDは登場時、ノイズがない、デジタルなので細かい部分まで聴こえる、などのわかりやすい利点でアナログレコードを凌駕する存在と語られましたが、音質以上に操作が簡単なので「そこまで積極的に音楽に興味ない」人たちも音源を購入するリスナーとして取り込むことに成功しました。いわゆるグレーゾーンが形成され、90年代は数多くのミリオンやダブルミリオンを連発したのですが、板仕返しで「そんなに積極的に音楽だけが好きなわけではない」人たちの趣向にヒットの主導権が握られることになり、真の音楽好きには面白くない時代だったかもしれません。

かくいうワタシも初めてCDを再生した時のノイズの不在は感動的ですらありました、何しろアナログ時代はオーディオファンにとってノイズは長らく仇のような存在でしたから。

しかし、ハイエンドオーディーオのオーナーからはCDの登場時より「CDは音が良くない」との批判がありました。結局これはほんの一部の声となり、大したオーディを所有しない大多数(ワタシもこの中におりました)にとっては、CDにより自宅で聴く音質が向上したんです、音質の共産化ですね(笑)

ワタシが初めてCDを購入したのは大学生になってからです。既に中学生の頃よりCDは登場していたのですが、CD黎明期は「超メジャー」な作品しかCD化の対象にならなかったので、UKニューウェーヴ等非一般的なジャンルを聴いて喜んでいる高校生の頃など、自分の聴きたいような作品はCD化されないものと思っていましたので(実際そうだった)「アナログの方が音が良い」とかではなくカタログ自体がないので興味がなかったのです。

その後は「初CD化」を謳うリイシューブームがやってきて、もはやアナログでも入手できないような相当マニアックなものCD化され、アナログレコードの役割は終えたように思っておりました。

もはや「CDの音が悪いなんてマニアの戯言」くらいに捉えておりました。

社会人になった頃のある日、ある取引先の方の別荘で結構良いオーディオでCurtis Fullerの「The Opener」(1957 / Blue Note)を聴いたのですが・・・

「あれあれあれ・・・もしかしてちゃんとした環境で再生すると、アナログの方が良いのか?」

とその瞬間にそれまでの価値観が崩壊しました。

その方に言わせると、1980年前後にかけてダイレクト・カッティング・レコーディングとかアナログ・レコードのスペックは進化進行中だったのに、CDの登場によって志半ばで開発が止まってしまったそうです。

その直後、世の中的にはなんで今頃?というタイミングに改めてターンテーブルを購入しました、CDプレイヤーの後にターンテーブルを買ったのです。

今の若い方では普通でしょうが、我々の世代では酔狂なことでした・・・

以来数十年愛用しております。

一昨年は変え針が生産終了で入手不可になり、故障しているわけでもないカートリッジを交換せざるを得なくなりました。数件のテーンテーブルや変え針を販売している電気屋を回りましたが、どうすれば自宅のターンテーブルで再びアナログが聴けるのか誰も回答できませんでした。

救世主は吉祥寺のオーディオ・ユニオン(通称:連合)でした。
所有しているターンテーブルの取扱説明書のPDFをデータベースから検索したり、適合できるカートリッジの候補を親身になって調べれてくれたりしました。改めて、ありがとうございました。

話は戻りますが、ちょっと前までは「わざわざアナログで購入するのは酔狂な音楽ファン」と見られていましたが、サブスクで定額で聴けるにも関わらず、敢えてアナログレコードを購入する若者が増え、さらにそれを祭典とする日があるというのは90年代の「音楽好き冬の時代」を知るものには歓迎すべきムーヴメントです。

ハーフ・スピード・リマスタリング等、止まってしまったアナログレコードの可能性の発展の続きもされているような気がします。

写真は前述のターンテーブルと、本日のレコードの日アンヴァサダーである竹内まりやさんの「VARIETY」。

本日アナログでリイシューされるようですが、オリジナルは帯付きだと盤質Bでも一万円以上してますね。こちらは10年くらい前に阿佐ヶ谷のRare Record閉店セールで100円だったような・・・

今日の一曲:高橋幸宏 / サラヴァ (1978 / Seven Seas)

一昨年、レコードの日アンヴァサダーを務められた高橋幸宏さんのソロデビューアルバムよりタイトル曲。「サラヴァ」ってのは日本語の「さらば」ではなく、ピエール・バルーのレーベルの名前に由来してます。

本日の担当:nori

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