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【青春18で行く】鉄道唱歌1人旅(東海道編第11番〜第12番)

11番

支線をあとに立ち帰り 渡る相模の馬入川
海水浴に名を得たる 大磯見えて波涼し

ここからは再び東海道の旅が始まります。大船からひたすらに西を目指すのみです。

歌に登場する「馬入川」とは今の相模川のことです。かつて川を渡っていた頼朝が平家か何かの亡霊に驚いて、馬から落ちたエピソードが由来となっているらしいです。頼朝からしたら、迷惑な話ですよね。自分が転んだことを未来永劫、伝え続ける川の名前なのですから。

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大磯駅に到着しました。駅舎がとてもイイ感じのところです(語彙力)。駅を出て、第一京浜を跨ぎ、数分歩いたところに、大磯海水浴場という場所があります。ここは、なんと日本で最初の海水浴場で、海水浴場発祥の地となっているのです。

何気なく歩道橋で跨いだ第一京浜も、1日前に自転車で移動した大都会を貫く交通量盛んな大動脈と同じ道だと考えると、未だ静岡県にも至っていませんが、遠くに来てしまったんだという不思議な気持ちに包まれます。

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12月の晴れ空の下、誰もいない閑散とした海水浴場には、周期的に繰り返して聞こえてくる波の音以外には、何も聞こえてきません。唱歌とは異なり「大磯見えて波寒し」という表現の方が適切でしょう。

12番

国府津降るれば電車あり 酒匂小田原遠からず
箱根八里の山道も あれ見よ雲の間より

国府津駅に到着しました。ここでは御殿場線に乗り換えます。この国府津から沼津の区間は、鉄道唱歌の中で、最も鉄道唱歌らしさを感じられる区間となります。

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現在、東海道本線は海沿いに進み、小田原・真鶴・熱海を通り三島に至りますが、旧東海道線は箱根の山々をぐるりと遠回りする、現在の御殿場線を通っていたのです。

わざわざ山道を遠回りするように鉄道を敷設したのには理由があります。外国の艦隊が襲ってきた時、艦砲射撃の標的となりやすい海沿いにレールを敷設することは軍事上の観点でやめておいた方がいいだろうと言う判断のほか、そもそも、海沿いの険しい地形にトンネルを掘って鉄道を通す技術が未発達だったことも理由として挙げられます。

なにしろ、今と昔で通るルートが大幅に変更されているという意味で、鉄道唱歌が作られた当時の鉄道事情を直接感じられる最も鉄道唱歌らしい区間なのです。

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また、ここから管轄がJR東海へと移行します。日本一高い山の美しい稜線が見え隠れする、まさに東海道の旅たるに相応しい場所に近づいてきました。

次回はこの旅2日目の最終目的地、三島を目指します。

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