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自宅リプレイin沖縄

昨年の7月、有給休暇を偶には有意義に消化しようと沖縄に一人旅に出た。旅行や観光に対して近年は嫌悪感しかなかったインナールーム野郎であったが、コロナが終息しつつもあって流石に「そろそろ動きますか…」と何故かその時は決心できた。中学の修学旅行で訪れたあの常夏の牧歌的な雰囲気を再び感じたかったのだろう。わざわざ米軍基地の近くの建物の屋上に行き、爆音の米軍輸送機を見学させられ騒音被害の実態を学ばされたのは今思うと左寄りな学校だったと思う。牧歌的なのか?

常夏の那覇に降り立ち、ゆいレールに乗り込み国際通り近くの民泊を目指す。民泊は普通のワンルームマンションの雰囲気を保っているのがいい。どこか他人の部屋に勝手に侵入しているような気分になるのがたまらないし、ビジネスホテルよりも個を保つことができる秘密基地である。

その建物全体がどうやら民泊用になっているようで、そんな大学の下宿先のような周りの存在を感知しなくていい環境なのもちょうどいい。今思うと大学敷地まで徒歩30秒の下宿先のアパートの住人は4年間誰一人とも関わることなかった。夜中にニコニコ動画の時報が複数部屋から共鳴してきたぐらいしか存在を感知できなかった。

そんな水増し回想してしまうぐらい真夏の沖縄はとにかく灼熱地獄で思い出がない。本物のサマーを自分はかなり舐めており、初日で直射日光をダイレクトに浴びた結果、引くぐらい真っ赤に日焼けしてしまった。普段太陽を浴びてない人間が紫外線を受けると皮膚はとんでもないことになる。

二日目以降は街を歩いていると、全然知らないおっさんに「日焼けやばいネ!」とフランクに話しかけられまくり、たまに夢で見る「自分だけ服を着てないまま外に居る」みたいな雰囲気になった。そんな気恥ずかしさと異次元の熱帯もあって殆ど民泊を外に出ずに1週間過ごすこととなる。金を払ってひきこもりに行ったも同然であった。

とにかく初日でカマされてからの2〜3日は気休め程度にニベアや化粧水や日焼け止めと泡盛を買い漁り、クーラーをガンガンに焚いて真っ赤に腫れ上がった皮膚の治療に充てた。本当に旅行への取り組み方として最悪であるが、ちゃっかりとfirestickTVを持参しており、自宅と何ら変わりのない快適性も保ててしまった。観光地でも自宅を再現しようとする気力は本当に良くない思考である。オリオンビール飲んで沖縄気分と自己暗示していたとこもある。

日中が引くぐらい暑いので自ずと皮膚の色でも区別されない夜行動するようになった。ちょうどレンタサイクルが充実していたので、夜の沖縄を電動チャリで目的もなく走行し、サウナのあるスーパー銭湯を巡った。完全に沖縄である必要性のない行為しかしていない。ちょうどハチミツ二郎の自伝である「マイ・ウェイ」が出版された週だったので、どうしても読みたく電子書籍もまだだったので、後半は沖縄観光よりもその書籍を探し求めることがメインクエストであった。

とりあえずマイウェイを入手し、意気揚々と民泊に引き上げ、風情もなくUberでタコスや沖縄そばを食い心の沖縄は満たされて行った。後期日程はほぼ東京ダイナマイトのことしか考えていなかった気もするが、逆に異国の地で日常の地続きカルチャーが接種したくなる欲を実感できてよかった。マイウェイは芸人自伝の中でも濃ゆいのでうちなーにもオススメ。

あと、市内の広告に「軍用地買取」と書かれたものが多かったのがアメリカの存在を感じ取れるいい異文化加減であった。軍用地投資というカルチャーを調べるとなかなか興味深かったし、借地料で悠々自適に暮らす島んちゅの存在を思い描くとその成金ミスマッチさが浮かんでくる。ウシジマくんのようなダーク沖縄にフォーカスしたストーリーを勝手に妄想して、永住したくは無いなあと思ってしまった。琉球は悪くない。アメリk(以下思想性を含むため省略)

上記のように修学旅行で訪れた時のようなあの楽しさは一人旅では全く再現性のないものであった。もう日常を逸脱しに行くのが向いてないし、何より移動という行為にコストを払うのが本当に好ましくないと思ってしまう自分の性質を再学習した。

美しい海だが暑過ぎる。

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