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35歳の自由研究「熱燗最強説」 その3 香港のGODENYAで熱燗飲んで来た。

中国茶と熱燗のいい関係

突然だが、僕は、中国茶が好きだ。
正確には中国茶が好きな女の子が好きだった笑。大学時代に、その時好きだった人とたまに川越の「茶ぼうず」という中国茶とごはんを出すお店に行っていた。茶ぼうずのマスターの注ぎ方は魔法使いが杖で魔法を唱えるようだったし、魔法にかかったような時間を僕らはそこで過ごしていた。

初めの一杯目は必ずマスターが注いでくれた。
テーブル席の端には、アルコールランプの上に透明なガラスのやかんが置かれ、二杯目以降は自分で急須にお湯を注ぎ、ひとつのお茶で7〜8杯は楽しめる。気づいたらあっという間に3〜4時間が過ぎて、あぁ、もう終電かぁ。みたいな場所だった。

そんな時は過ぎて、大人になり随分経ったころ。たまたま出会った女の子がその「茶ぼうず」というお店でバイトしていた人で、めっちゃ話が盛り上がった。その子は茶ぼうずのマスターのことを「あの人ファイナルファンタジーみたいな人だよね」と言ってて。「どんな例えやねん!!その例えもファイナルファンタジー級やん」と笑った。その時、その子は、横浜の中国茶の老舗のお店で働いていた。
そして、これを書いていて、今ふと思い出したのだけれど。そういえば、その子はこの前行ったマルサンワインのりょうさんが遊くんと立ち上げたriddimates がだった。過去の布石がいろんなところに落ちている。



それで去年、ガッツで熱燗を飲んだ時、この楽しさは何だろう??と考えて、たどり着いたのが、スイート&ビター(ビター多め)なそれらの思い出と共にたしなんだ中国茶なのだ。
どの変が似てるかというと

中国茶は
1、急須に茶葉を入れる。
2、お湯を注ぎ蒸らす。(加熱)
3、苦味が出過ぎないくらいで、別の茶器に移す。
4、おちょこに注ぎ、ちょっとずつ飲む。
5、2杯目、3杯目に進むにつれ、角が丸くなり、優しいうま味がより感じるようになる。

対して熱燗は
1、ちろりに日本酒を入れる。
2、湯煎で温める(加熱)
3、香りがたって来たら、徳利に注ぐ
4、おちょこに注ぎ、ちょっとずつ飲む。
5、徳利の中で温度が徐々に下がり、優しいうま味がより感じるようになる。


あと、個人的には、気がついたら3〜4時間経っているとこも似ている。ガッツも後半2時間がめっちゃ早く過ぎていく。

それで思ったことがあって。それは

日本酒はワイングラスで飲んでる場合じゃねー!!!ということだ。これは、あくまで自分はそういう飲み方が好きということなので、否定しているわけではない。ただSかMかどっちですか?ときかれたら、まぁドMですねぇというような、嗜好的なことだ。それでも、熱燗をおちょこで飲むほうが絶対に気持ちいいという確信はある。

20〜30代はパリピな酒をガンガン飲めばいいと思う。合コンもクラブでナンパもして、テキーラショットも泡、飲もうーっつってシャンパン開けたりもしたらいいよ。そして。

ひと通り遊んできたパリピもいつか「いやぁ、人を愛するってこういうことか。とようやく気がつきました」と大切な結婚するように。「ようやく、この美味しさに気がつきました。」と、熱燗にたどりつくのだ。「大人のたしなみ」として。それは、まじで激アツなライフスタイルだと思う。


最期にたどり着くのは、きっと鉄火巻きと熱燗なのだ。

GODENYAのミッション


だから、海外に日本酒を発信するにも「RICE WINE」(そもそも日本酒はワインじゃないけど)と呼んで、ワイン文化に寄せていくのではなく「飲茶文化圏での人に熱燗飲ませた方が、めっちゃウケるんじゃね??いつかイベントやりたいなぁ!」と思っていたら、イベントどころか、お店やってる人がいた。


そのお店がGODENYAだ。ごっしーさんという日本人がオーナー燗付け師のお店で、客層はほぼ香港人だって。カウンター7席、テーブル1つ。奥に個室が1つの小さなお店。

ごっしーさんは「日本酒を世界の食中酒にしたい」というゴールを決めて、日本から3年前に香港にたどり着いた。
(検索すれば過去のインタビューがでてくるので、チェックしてみてね。)

「これ、無くてもよくね??」と思うくらい表札が小さい笑。しかも日本語のみ。

しかも超裏路地。ネッスンドルマガッツもそうだけど。
ダンジョン感が過ぎる!!!村人の情報がないと、たどり着けない世界観。ネッスンもガッツもGODENYAも、全然排他的じゃないんだよ。紹介制でも会員制でもないし。たどり着いたら「よく来たねー!!」と迎えてくれるホスピタリティは素晴らしいんだけれど、メインストリートにはなくって。カウンターカルチャー感がすごい。スーパーマリオだったら、完全にドラム缶の上でしゃがんで入る地下面。

それでもGODENYAは、連日、地元の美食家で満席状態。
僕がカウンターに座ると、後ろのテーブル席から男性の声が聞こえて来た。

「ka  ze  no mo ri,    kazenomori!!」

どうやら彼女らしき女性に「風の森」というお酒の良さを熱弁しているようだ。目を輝かせながら「kazenomori !!」とめっちゃテンション上がってた。kazenomori以外の広東語は聞き取れなかったけれど、めっちゃ面白いなぁと思った。

隣の人は、彼女待ちで一人で座っていたので色々聞いたら 
「友達のフーディ(美食家)がインスタでここのお店を紹介していて、今日は別の友達と来たんだよ。二人とも初めてだけど、超楽しみだよぉ!!」と言っていた。

香港、熱燗めっちゃバズってるやん!!!GODENYAおそるべし。



ごっしーさんの真骨頂は「自家熟成の生原酒」。ごっしーさんが育てた生原酒の熱燗はめっっちゃ美味しかった。

生酒は「冷蔵保存で、開封後はお早めにお飲みください」と言われているお酒だ。それを、わざわざ開封して、頃合いをみながら、お酒に合わせて常温で数年寝かせてからお店で使う。色々試して、それがしっくりくるとのことだった。だから、

「同じ銘柄のお酒を他のお店で飲んでも、この味じゃないからね。それが日本酒じゃないかな。」

とごっしーさんが言っていたように。ガッツはガッツの味になるし、GODENYAはGODENYAの味になる。その味は「個人店の鮨屋の良さ」に通じる。

ただ、ごっしーさんがめざす「日本酒を世界の食中酒にする」を達成するには、この味がGODENYAでしか飲めないものではなくて、同時多発的に世界中で飲まれている状況にしなくてはいけない。

地下から地上にでて、日本のポップアイコンとして、マリオのごとく世界を魅了しなければならないということだ。ごっしーさんは、次の次の次の次くらいまで、考えているけれど、すごく地道にタネを蒔いている感じがいいなと思った。色々楽しみだなぁ。


実は前日に日本から熱燗ハマってて、遊びに行きますと伝えたら、お会いする時間をくれて。飲茶飲みながら、いろんな話を伺った。3時間があっというまにすぎた。

行き当たりばったりの僕の人生とは全く違って。5000メートル級の登山をするように「頂上(日本酒が世界の食中酒になる)に行くには、どんな道具が必要で、どこから登ったら登りやすいか(または楽しそうか)、誰とパーティを組んで、お金はどのくらいかかって、何日で登ろうか。」というような、戦略をたてつつ生きていて。ごっしーさんの今までやこれからの人生の話がめっちゃ面白かった。



僕は登山ではなく、サーフィン。旅をしつつ、海を眺めながら「いい波来たー!!!」と波乗りして、そこで暮らす人との時間を楽しみながら、その日暮らしに生きているような人生。唯一、目標立てたのは「鮨が握れるようになりたい!!」ということだけで。目標や夢のある人生は、やっぱりいいな!!というか「鮨が握れる僕は、誰と、どう生きたら、自分も周りも幸せになれるのか。」ということを、これから本気で考えねば!!!と思ったのだった。



鮨はさー「鮨最強説!!」とか言わなくても、すでにみんなが最強だと思ってるから。それこそ「鮨」は「マリオ」のような、世界を魅了している日本のポップアイコンで。そのメジャー感と熱燗のインディーズ感がゆるやかに混ざったら面白いなぁと思った。

小さな世界で生きて行くのも面白いし「世界に広めたい」と大きな世界に飛び出すのも面白い。
大好きなoiskallmatesというバンドは20年、まぁ、そのSKAPUNKカルチャーの中では超有名だけど、知ってる人はそんなにいなくて。それでもずーっと続けてたらメキシコのフェスに呼ばれて、観客をめっちゃ魅了している(上の動画の1分目あたり、超盛り上がってる。)。

「こういう生き方もある。」ということを知っているだけでも、SKAが好きでよかったなぁと思う。

ごっしーさん、ごちそうさまでした。飲茶も楽しかったですー。






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