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Sさん いっぱい相談したなぁ

「あれ!?」
送ったメールがアドレス不明で戻ってきた。

社内のチャットで同じようにSさんとやりとりしていたスタッフへ確認をしてみる。
 某社のSさんってご退職されたのですか?
  →そうなの…3末で> <

!!なんと、退職されたのか。
Sさんは取引相手で、たくさん助けてもらっていて、たくさん感謝をしていたから、両手いっぱいに抱えている蓄積した感謝が宙ぶらりんになってしまって、この気持ちをもう届けられないのかーという後悔と、そして寂しさがあった。

お仕事を当面おやすみするという私からの報告を最後に連絡がとれなくなってしまった。ただ、会社の皆からSさんへ感謝のプレゼントを渡したという話を聞いてほっとした。その内容は作家からのプレゼントでともいえた。今まで長くコルクに在籍していたが、退職時に個人がそういったプレゼントを受け取ることはあまりみたことがなく、私以外のスタッフからもたくさん愛される仕事をしていた方だったんだなと思った。

Sさんは印刷会社の方だった。

出会いは6、7年前。
印刷物についてメールで問い合わせをしたときに担当してくださった方がSさんだった。

直接打ち合わせをした際に、Sさんは上司から「紙マニア」と紹介されていた。どおりで、絵柄に合わせてどの紙を使うといいかたくさんの提案をしてくださるわけだ。

印刷について右も左もわからない状態だった私はSさんへ今回の絵柄のイメージを伝えて、ポストカードやステッカーなどいろんなアイテムでどの紙が適しているか?の相談をした。紙見本を用意してくださり、毎回これだと思うものを選ぶことができた。時にはSさんから刊行記念ですと、作品の絵柄があしらったお祝いのクッキーをいただいた。

少しのやりとりにも丁寧さが垣間見え、なによりいつも温かい心にさせてくれた。そういう人と仕事ができたことが私にとっては幸せだった。

退職時にお礼を伝えられなかった Sさんへ、私がはじめて連絡をした頃、私は業務に追われていて、知識も不足して、不安でいっぱいの状態で走っていました。このアイテムはどういう選択をしようかと迷い、返事が滞ってしまったとき、相談しにいっていいですか?と店舗を訪れた際にあたたかく迎えいれたこと、さんの提案や丁寧なお返事がその案件を完遂させた以上に、大切な作品に対して、一緒の熱量で相談してくれる方がいることが自分の中の支えになっていました。だから、本当にありがとうございました。

自分が切羽詰まっていたときに助けてもらったことってよく覚えているもので、いや、でも時が経てば記憶が薄れてしまうから、できるだけ自分よ、そういうことは覚えておいて。どんだけ助けてもらったかばあちゃんになったときにスラスラしゃべっておくれよう。

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