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タイムスリップできた話

中学の部活仲間とは今も仲が良い。

親友って言葉をよく使っていたし、学生時代のプリクラにはずっ友、一生仲間、心友、我等永遠不滅など、ありとあらゆるその時の流行語で、大切な関係を表現していた。

最近では、「学生時代からの友だち」という言葉だけで、数十年の仲だと歳月が仲の良さを証明してくれるようになった。

そんな友だち(ちなみに5人組)は年に最低1回は集まろうと、毎年予定を合わせてきた。コロナ化では一度も実現できてないから、今から書くことは5年以上前の出来事。


部活仲間のひとり(ここではYとする)が家を建てたので、そのお家に集合することに。鍋でもつつこう!と具材を買っていく。

Yの新居に私たちははしゃぎ、スマホで動画を撮影しながら、勝手な家紹介をはじめる。自由な発言に交わされるボケとツッコミ。笑いが絶えない空間。

Y「何飲む?飲み物簡単なんだ用意しといたで」と、もてなしてくれる。

Y「○○はカルピスで、ユヒコは、これやろ?」

Yが持っていたのはファンタグレープ。1.5ℓのペットボトルのやつ。

その瞬間、中学の頃、高校の頃の記憶がざーっと頭を流れてくる。そうだ!!私はファンタグレープが大好きだったのだ。

まだお酒を飲めなかったあの頃。家でお菓子パーティをするとき、コンビニの前でしゃべるとき、私はファンタグレープばっかり飲んでいた。

私の放つ「ファンタで。」の一言でそれはオレンジではなく、グレープだと誰もが当たり前に思うほどに。


Yに向かって私は
「わかってるな、さすがやな。」

と、今はもう手に取ることがなくなっていたファンタをグラスに注いでもらった。

そのときの自分の口調は、きっと中学のときのままで、ファンタを注いでもらったその時、タイムスリップしたような時間が流れていて、心臓がぼかぼかどくどくっと、Yの優しさが血の中に溶けて流れていって、すごく愛しく感じた。

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