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20230910 桜ヶ丘(仙台市) #風景誤読

 2023年9/10(月)。目を覚ましスマホを見ると、もう午後の2時を回っていた。googleカレンダーにはなんの予定もない。頭の中にも今日はなにをやろうとか、何もなかった。大学は夏季の長期休暇で、インターンに行くでもなく、自分で研究をするでもなく、バイトに行ったり、ときおりサークルの制作を進めたりと、きままに過ごしていた。そんな休暇中では、なんの予定もないと時間がただ過ぎ去っていくだけだ。予定は大事なのだ。私のような人間は無理にでも入れたほうがいいのだと改めて痛感した(n度目)。
 このまま布団でゴロゴロしつつまた夜になると、1日を全くドブにしたような気分になる。こんな日は無理やり外に出ることにしていた。
 たかしなが川平を歩いた記事のことを思い出した。俺も歩くか。暇だし。ちょうどいい。(こんなことを書くのも失礼な気はするが、これくらいの熱量がちょうどいいんじゃなかろうか(開き直り))
 早速支度をして水の森近辺に向かって出発した。

水の森三丁目交差点 くら寿司がシンボル

  水の森の交差点についた。ここから桜ヶ丘三丁目の水路に沿って歩きつつ水の森公園の三共堤を目指そう。

なんとなく水路沿いを歩いてみよう

  この交差点はいつもバイトに行くのに通っているのだが、自転車あるいはバイクから降りて自分の脚で歩くことは新鮮だった。うん、全然進まない...文明の利器は偉大よのう。

 ここのガードレールをくぐって、下の段差に飛び降りてショートカットしたい。小学生の私であればためらうことはなかったのだが、もういい大人になってしまっていた。大人な私はすき家のところまで歩いてからぐるっと回って段差の下に到着した。

先程の撮影地を下から眺めた写真

 少し歩くと水路を見つけた。たかしなの散歩記事を読んで、水の森公園の三共堤と鳥瀧不動尊が水路で繋がっていることを知った。その水路だ。流れを見てみると、水の森公園の三共堤に向かって流れている。自分で確かめてみようと思っていた。

親子がキャッチボールをしている
水の森公園に向かって流れる

 水路に沿って、水の森公園を目指して歩く。住宅地をつっきっていたので少しだけ気が引けていた。地域住民ですよ〜帰宅途中です〜と念を送りつつ歩く。

喉が渇いていたので自販機に飛びつく。モンスター(230円)を購入。

 水の森の住宅地の中にもある程度入ってきた。あれ、ここから水の森公園にそもそも入れるのか?ここにきて不穏な予感。地図を見て水の森公園の位置を確認、とりあえず近くに接近してみてから考えようと思ってたけど、だめだった??

地図を見てみると細い道が見える。ここから水の森公園に侵入できそう。付近の公園をまず目指して更に歩いていく。

「虫除け塗ろうね」親子の会話が聞こえた。まずい。”水”の”森”、夕方、夏の終わり、半袖での散歩、蚊が出現する条件が揃いすぎている。虫除け持ってくるべきだった...

 道はあった。あったけど...!! 獣道じゃねえか。もう夕方になっていたし、疲れてきたし、クマ出没の看板なんかもあったし、虫に対する装備も無いし、引き返す理由はいくらでもあった。。。いくらでもありすぎた。。。

桜ヶ丘三丁目公園の道路の脇にて見覚えのあるきのみが目に止まった。

 この栗まんじゅうのようなかわいいきのみ、とちの実だ。表面がツヤツヤしていて張りがある。きっとトチノキから落ちたばかりだろう。とちの実が落ちているということは、すぐ近くにトチノキがあるはずだ。。。

 あった。後ろを振り返るとすぐそこにいた。幹も葉も特徴的だからすぐにわかる。写真中の黄色い殻のようなものに実が入っていて、そのうち落ちてくるのだ。
 
 小学生の頃、とちの実集めが私にとって大きなエンタメだった。祖父が林業をしていてトチノキの苗を作っていて、毎年秋にはとちの実を集めて一定量送るとお小遣いがもらえた。探索→採集→報酬。シンプルだが、これで十分だった。住所が青葉山にあり、友達の家も遊びも少なかった私にとって、このフィールドワークはかっこうの暇つぶしだった。近所の宮教大のキャンパスがメインフィールドで、トチノキを探して歩き回った。当時はそこらの学生よりキャンパスのどこになにがあるか知っていたかもしれないくらいだ。たくさん実が落ちて、落ち葉と実と殻で汚くなっている場所を見つけては走り寄り、せっせと拾い集めた。広大とまでは言えないが、宮教大のキャンパスは十分広く、楽しい。宮教大に限らずある程度大きい大学のキャンパスはどこもそうだ。設備や人を詰め込めればそれでいいという設計には思えない。大学というと格式高い印象があるけど、それとは真逆でオープンワールドゲームのマップのよう。好き勝手探索されなきゃ勿体ないと思わせる、そのために作られていると思えるほど遊び心に溢れている。

地面に落ちていたとちの実の殻。これは綺麗だけど時間が経って汚いものも多い

 とちの実とトチノキをきっかけに、昔のことを思い返した。小学生の私にとって、とても大きなイベントであったはずなのだが。なにかきっかけがなければずっと記憶の底から出てこなかったような気がする。

 さて、もう暗くなってきたし退散しよう。水の森公園の中を散策したかったが仕方ない、また地図だけ見て適当に接近しよう。いや、もう公式Webとかで入り口を調べて入ったほうがいいかな。。。


[あおな]


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