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第25話 たーくんと友だちになったよ たーくんは意外に〇〇かも…

ママはご飯の支度が終わった。

時計を見ながら、ソファーで寝そべってテレビをいているたーくんに話しかける。

「たーくん。しょーちゃんを迎えに行って来るね」

「めしは?」

たーくんは初めて人間らしい言葉を発した。

今まで、ママが何を話かけても、アーだのウーだのと、あくびをするだけだったのに初めてママの言葉に反応したのだ。


「ご飯はできてるよ。」

ママはそう言ってから

「すぐ帰って来る、駅までだから。」

と付け足してあわただしく外出の準備にかかっっている。


バックを持ってきて、

時計をして、

すでに玄関で靴を履きにかかっている。


ボクは慌ててママを見送るため玄関に走った。

ママが、ドアの外に消えるのを確認して、ボクはリビングに引き返した。

リビングに戻ると、たーくんがゆっくりと立ち上がって、薬箱などがある棚を物色している。


ボクは恐怖で心臓が破裂しそうになり、思わず立ちすくんだ。


立ち上がったところを改めて見ると、やっぱりたーくんはデカい。

いつもしょうちゃんとママしか見てないから、たーくんの大きさが異様に思えた。

たーくんは棚から何かを取り出して、ボクの方を振り返った。

良く見ると、ボクの好きなおもちゃを持っている。

猫じゃらしだ!

ネコ用のおもちゃだけど、ボクはこれで遊ぶのが大好きだ。

たーくんはそれを持って、ボクの前にネズミを垂らした。

ネズミがゴムひもの先に付いていて、ゴムひもは棒につけられている。


棒で操作すると、ネズミが生きているかのように動くんだ。


激しく動き回るネズミを捕まえるのがボクの役割り。

ボクの恐怖心はいっぺんにワクワク心に変わった。


たーくんはネズミを操るのがうまい。

ネズミは思いがけない動きをする。

空中を高く飛んだり、着地して動かなくなったり。

動かないところを捕まえようとすると、サッと空中に飛んで逃げてしまったり。


チュウチュウというネズミの激しい、甲高い鳴き声もボクの興奮材料だ。


ボクは、ネズミが止まった時を狙って、慎重にスキを伺い一気に飛びかかる。

寸前で取り逃がし、またその動きを追いかける。

一瞬たりとも気が抜けない。


だけど時々は、捕まえさせてもくれる。

ボクはネズミを捕まえると、それをくわえたまま大きく首を振ってネズミの息の根を止めにかかる。

とどめを刺すためのこの動きは、誰に教わったわけでもないのに勝手に体が動くんだ。


ボクにとってこれは野生を呼び起こす、とても興奮する遊びなのだ。


ボクは何度も何度もネズミの息の根を止めることができて、とても満足した。


興奮と運動量のせいでボクの呼吸は早くなる。

ボクは動きを止めた。


するとたーくんは、ネズミのひもを持つ手を止めて、ボクに水を飲むように促した。


たーくんは何も言わないけど、ボクのことがわかるみたい。


言葉を持たない動物のようだ、とボクは思った。



ボクは水をごくごく飲みながら、ネズミが気になって後ろを振り返った。

すると、たーくんはネズミをもとの棚にもどすところだった。


ボクはすっかりたーくんが大好きになったよ。

たーくんは、何事もなかったかのようにソファーに戻り、ごろんと寝そべった。


そこで、ボクを手招き。

ボクは、たーくんのところに駆け寄った。


たーくんはボクを抱きあげて自分のおなかの上に乗せた。



ボクはたーくんの意外と白い、大きな手をちょこっとなめて、

もうやらないの?おしまい?

と聞いてみた。


たーくんの返事はない。

コーヒーテーブルの上のスマホを手探りで見つけ出し、またいじり始めた。


ボクは、たーくんのおなかの上で動くことができないまま伏せた。


たーくんはスマホを持たない手でボクをナデナデした。


ボクはたーくんの手のひらから、おおざっぱな暖かさを感じていた。


ママやしょうちゃんのような柔らかさとは全く違うと思った。

1位 たーくん。

2位 ママ

3位 しゃうちゃん

ボクはの中でーくんは、ママを超えるランクに昇格したんだ!


今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。

また次回お会いできるのが楽しみですら



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