𝓣𝓪𝓻𝓸

ある人の小説を書いてます

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最近の記事

花屍累々

「人は花だ」 僕は沢山の花を見るのが好き。 たとえそれがどんな形をしていようが、どんな匂いをしていようが、十人十色だと思う。 世の中には色々な花の蕾のような心臓が数しれずある。 今まで僕が出会ってきた花も数しれず。 今まで別れてきた花も同等ぐらいの数。 けれどどれも美しいものばかり。 むしろ花に汚い花などないと思っている。 皆さんにもきっと沢山のお花畑を持っていると思います。 もちろん花なので手入れも必要。 沢山水を与えない花もあれば、風や雨から身を守らな

    • un命

      何もかも上手くいかないようで全てが上手くいく。 生まれた時から全ての事柄がもう決まってるかのようなこの世界は容易でも困難でもない。 そんな話はきっと少なくはない。 あの人が私の運命かもしれないと思ったあの人の運命の人は私と違う人。 あの人は私の運命の人じゃないと決めたあの人はもしかしたら私の運命の人。 心のカップに溜まった愛情のような水ももしかしたらひっくり返される運命だったのかもしれない。 中には心のカップが逆さまで注いでも注いでも溜まらず全て流れることもある。

      • 反逆の月

        僕が初めて君にあった頃。 君はまるで満月のように角がなく、自分を輝かせるのに必死だった。 けれどその月もやがては欠けていく。 失っていく物も多くなり、タバコの本数だけが増えていく君。 どんどん明るさを失い、暗い部分だけが増えていくばかり。 僕は正直あの頃にこの月が無くなってしまうのではないか。 そう思ってしまった。 その月は堕ちる所まで堕ち、欠ける所まで欠けていく。 そう思っていた。 けれどその月が完全になくなったかと思いきや、また少しずつ光が射してきた

        • untitled

          なんも彩りのない一枚の絵のような君。 本当に血が通ってるかと思うぐらいの体温で語る君。 色は白。 何を食べて、何かを見て、何かを聞いて身体に色がつく。 まるで川を泳ぐシャケの様に。 白の絵の具から他の色を加えてできる繊細な色の様に。 普段君が着る白色の下着が恋人の好みで色付きの下着を着る様に。 けれど誰かのためなら自分の色を変えられる。 カメレオンのような君。白は何色よりも馴染みやすい。 きっと最初は君も白ではなかったはず。 何色だったんだろうな〜とかよく

          染。

          その男の心にはなんの色もない、けれど他人の心の色についてはとても物知り。 その男はきっとたくさんの色に触れて、触れすぎて自分の色を見失っている。 傲岸不遜に周りの色と接するその男はきっと他の色が羨ましいのではなく自分と同じ色がこの世界に存在しないかひたすら探している。 少し不器用で少し器用。 少し意地っ張りで少し寂しがり屋。 正反対の性格を両方かけ備えるその男の類義なんてこの世界に本当にあるのだろうか。 そもそも色のない男の類義をどう探すんだろうか。 そんなこと

          星花火この世界を灯す

          この世界には沢山の光が夜を輝かせる。 空に光を灯す星や蛍。 地を光を照らす火や花。 どれも少しうるさいぐらい光が強く眩しい。 この世界は暗く狭いところでも呼吸ができる。 呼吸の仕方はこの世界の光が教えてくれる。 この世界はまだ平和なのかもしれない。 うるさいぐらいに、口が酸っぱくなるぐらいに。 けれどそれぞれの光は単体では夜を輝かせることはできない。 夜に飲み込まれそうになる時は救難信号を出すかのように光輝き寂しさを埋める。 星も 花も 火も 蛍も そ

          星花火この世界を灯す

          モネの微笑女

          その女の子は少し照れ屋。 弱いところも強いところも笑って泣いて誤魔化す。 その微笑みを色に例えるのなら何色だろうか、君の強い部分が君を彩る絵の具なら、それを薄める弱い部分は君の流す涙のような水分。 混じってきっと一枚の絵、君が完成する、けれどいいバランスを取らないとその一枚の絵と君が汚れてしまう、滲んでしまう。 笑ってばかりじゃ悲しい出来事が起こった時に抜け道を無くして絵がボロボロになる。 泣いてばかりじゃ君の素敵な絵の色が垂れるように涙を流す。 だから我慢しない

          モネの微笑女

          白蛇の咳毒

          普段はとても冷酷で殺気のない蛇。 まるで君のよう。 本当に血が通ってるのかと疑うぐらいに体も心も温度を感じない。 まるで白蛇のよう。 僕から見た君はこの世界で生きるには喉が詰まりそうなぐらい歯痒そう。 あの白蛇が大きな卵を丸呑みする時のようにきっと君も喉の奥で幸せを消化してる。 君の頭の中は蛇の毒のように体内が血で覆われている。 けれど白蛇も君も毒と血液がある一定の数値を超えると溢れ出す。 まるで結核の病人が血を、毒を吐くかのように。 吐き乱れる血や毒は熱で

          白蛇の咳毒

          少女の哀情

          その少女はとても寂しがり屋。 一人の時間がとても苦手だった。 ある日少女は1人の女性に出会う。 その女性は少女に光を照らして少女の笑顔を作っていた。 静寂に笑い声を与えていた。 哀しくない、寂しくない世界。 嬉しい、楽しい世界。 全てを作ってくれた女性のことが大好きな少女。 けれどその女性も人間。 完璧なんて言葉は存在しなかった。 少女は寂しがり屋だが人一倍に正義感があった。 それはあの女性が君に教えてくれたもの。 桃太郎が猿、雉、犬にきびだんごをあげるよ

          少女の哀情

          芽々しい麦の種

          君はとても好奇心旺盛。 麦の花のように沢山枝分かれした心の種を持っている。 たまに自分の心と心が正面衝突しちゃうぐらい複雑。 僕にもまだ分からないところが沢山あるのかもしれない。 けれどそれは一つ一つ綺麗に咲く。 君が僕に出会った時に思ったことは、みんなとは違う発想力があり、みんなとは違う観点で物事を見ている。 けれどそれは見たくないもの聞きたくないものまで見たり聞いたりしてしまう。 やがて麦の種はどこから伸びていいの迷うことがある。 けれどどれも上向いて伸び

          芽々しい麦の種

          太陽の梅雨下り

          その女の子は太陽のように強く輝く女の子。 「悲しい時は上向く」こんな印象の君。 太陽は絶対に悲しみの涙も感情も枯らしてくれる、そう思いながら今日も光の日を浴びる。 時には雨で落ち込んだり泣いちゃったりすることもある。 きっとその時は君といつも睨めっこしている太陽も泣いている。 梅雨になると君の髪と感情が渦をまくように太陽も少し優柔不断になる。 この梅雨が過ぎると君と太陽はまた光のように輝く。 渦を巻いていた雲も君の髪も太陽のように、梅のようにまん丸になる。 角

          太陽の梅雨下り

          土に花を

          君はとても強く生きている、この世界に綺麗に咲く花のように。 その花のいい所は沢山ある。「土の養分を独り占めしない」「自分の花びらを他のお花に幸せの形としてあげる」「ほかの花に優しさという水分を与える」 君はまるでみんなから好かれる国民的アイドルのような存在。 不燃ゴミにさえ愛情の火をかけちゃうようなおちゃめな君。 まるで雑草にも愛情を注いでお花にしちゃうような存在。 無駄なものの存在が少し苦手な君。 この世界のありとあらゆるものを綺麗な一輪の花にすぐ変えてしまう。

          君と猫と屍と

          みんな違ってみんないい。 屍と、猫と、それから私。 どこかできいたような詩。 君は思う。 猫のように太陽を浴びながら伸び伸びと生きたい。 屍のように何も考えずにこの世界に存在したい。 猫は思う。 屍のように栄養を取らずに過ごしたい。 君のように沢山遠い場所に行きたい。 屍は思う。 君のようにたくさんの恋をしたい。 猫のように沢山鳴きたい。 何も共通しない君と猫と屍。 けれど互いにその生き方を必ず否定しない、そもそも消極的な君は物事にあまり価値をつける

          君と猫と屍と

          兎と鶯

          2人は全く違うものを持っているのに、全く違う世界にいるのに、なぜか毎日のように会話をしていた。 お互いに嫌な部分は見えるかもしれない、けれどそれに反して良い部分も見える。 耳が可愛い兎、羽が綺麗な鶯、どうしたらこの2人は仲良くなる?僕からすればこの世界の謎だった。 きっとこの2人は良い部分も悪い部分も切磋琢磨し合って生きている。 寂しがり屋な兎と包容力のある鶯、ある意味2人は需要と供給が成り立っていたのかもしれない。 この地を飛び跳ねる兎とこの空を飛び交う鶯。 2

          感情相対姉妹

          その姉妹は少し歳に距離がある。 姉は少し物事を深く考える悪い癖がある。 子供っぽいところもたくさんある。 けれどそれは子供のことを理解して沢山の子供を包み込む感情の反動。 大人なのか子供なのか。 妹はとても能天気。 たまに何を考えているのか誰も理解できない時がある。 けれどそれは人に甘えるのが苦手で少し強がってしまう感情の反動。 子供なのか大人なのか。 2人はまるで似ても似つかない生き別れの姉妹のようだった。 けれどお互いの「強さ」「弱さ」を尊重し合ってい

          感情相対姉妹

          桜羽満廻

          その桜はとても優しく咲く。 冬が明け、春の温かさと共にこの世界を白からピンクに彩る。 どこかで冬眠していた鳥もピンクに彩る美しさに引かれ、巣から飛び立つ。 鳥もきっと桜の真似をする。 優しく咲く桜をみて鳥は優しく羽ばたく。 桜はそれを見守る。 少し鳥が弱ってる時は桜は木の下に鳥を抱き抱える。 桜は自分の花弁を削りながら鳥を守る。 削れた桜の花弁は地に落ち、雨に濡れる。 けれど鳥はその桜の花弁の上に羽を落とす。 花弁が濡れないように、風邪をひかないように。