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マッハ・キショ松10周年祭とテキストサイトの思い出

先日、阿佐ヶ谷ロフトAで行われた「マッハ・キショ松10周年祭」に行ってきました。

キショ松さんはオモコロでおしっこを飲んだり砂を食ったりちんちんやお尻を露出したり思想犯のコスプレが“本物”すぎたりしているライターさんです。僕にとってはねとらぼ時代の同僚でもあります。(一緒に「ろじっくぱらだいす」のワタナベさんのインタビューとかしました

友人が頼んでたイベントオリジナルの「おいしいお酒」。おしっこをイメージしてこの色になった

キショ松さんは普段の仕事すごい真面目です。どちらかというと「ちゃんとしているほうのキショ松」を色濃く知っている側の人間なので、イベントに行った観客の中では少数派だったかもしれません。被災地にトラックで支援物資を届ける江頭2:50を見てファンになったみたいな珍しいタイプ。あの人、ちゃんとした記事書くのめっちゃ上手いんすよ。

そんなキショ松さんのライター10周年をお祝いするイベント。前半では知られざるキショ松さんの半生が明かされたのですが、これがとても「人生」って感じでよかったです。

人間「キショ松」がよくわかるスライド

周囲とウマが合わなくてインターネット、特にテキストサイトに傾倒したっていう経緯がわかりみが深かったです。僕も全く同じなんですが当時のインターネットはそんなやつばっかりだった。ややこしいのは実際に同じくらいのラーメンズ好きとかと出会うと、照れて「まあラーメンズってファンが痛いっすよね……」とか言ってあんまり込み入った話ができなかったりするところ。あの頃、俺たちはピサの斜塔より斜に構えてインターネットをやっていた。

クラスで2番目に勉強ができて群馬の進学校に進出したキショ松さんでしたが、周りのレベルは高く、そこで色々挫折を味わいます。お兄ちゃんに言われた「本当に優秀なやつは東京に行く。県内の進学校でついてけないお前は三番手」という言葉が正論の暴力すぎてやばかった。山ラジさんが「お兄さんなんでそんな厳しいの」って言ってたけどほんそれ。

その後、高校中退、大検取得、大学進学、就活での挫折などを経て、オモコロにたどり着いたキショ松さん。自分のおしっこを飲む記事を応募して大賞に輝いたことで「マッハ・キショ松」が爆誕します。むちゃくちゃいい話だ。

弊noteもちらっと出してくれました

ねとらぼでの活動についても少し触れてました。言葉を探しながら複雑な思いを口にしていましたが、メディアを運営していく難しさと「面白いことをやる」ということの難しさ、両方に誠実に向き合おうとしてきたキショ松さんの人間性がよく出てたんじゃないかと思います。人は真面目すぎるとインターネットでキンタマを出さざるを得なくなるんです。これはマジです。

映像コンテンツもよかったです。大学時代に漫才をやっていた元相方に10年ぶりに会いに行く映像は非常に生々しい距離感や人間関係が見えるガチのドキュメンタリー。

ルールを真面目に追及する気も失せる「ちんちんしりとり」は、日本語の奥深さを感じられる極めて秀逸な言語コンテンツでした。全ての言語はちんちんに通ず。もっと見たいと思った。

名作「serial experiments lain」を大胆に冒涜した映像作品「しりアナル experiments lain」も、「俺たちは阿佐ヶ谷まで来て何を見せられているんだ」という感情があふれ出る素晴らしい出来でした。随所に山ラジさんのセンスを強く感じた。余談ですが、この日登壇していた山下ラジ男さんも一時期ねとらぼで同じ部署で仕事させてもらってて一緒に苦労したこともあったので、こういう生き生きとした表現を見るとよかったなあと思います。

僕はオモコロ系のイベント行くの初めてで「どんな人が来てるんだろう」って会場の様子も気になって見てたんですが、わりと20~30代人が多くて男女比も半々くらいって感じで、言うなれば「普通」の感じでした。いや、マッハ・キショ松のイベントを見に来てるやつが普通のわけないんですが。なのであそこにいた人たちはわりと近い感性や、もしかしたら苦しみなんかも抱えていて、キショ松さんの尻を見ることでなんかしらの救いを得ていたのかもなと思いました。信じられないくらい怖い宗教じゃねえか。

会場で「思想犯T」のSサイズが真っ先に売り切れてるの謎のメッセージ性を感じて怖かったです

もう1回言っとこう。人は真面目すぎるとインターネットでキンタマを出さざるを得なくなる、ということを強く感じたイベントでした。そういう人はキショ松さん以外にも意外といて、この集まりでしか救われない人がいると思う。少なくとも自分はちょっとそのケがある。ぜひまたやってほしいです。

そういえば会場でオモコロ編集長の原宿さんと初めて話したんですが、僕の病気のこととか気遣ってくれてありがたかったのと同時に、僕はテキストサイトやってたころ何よりも「桃色核実験」のファンだったので嬉しかったです。以下、そんなころの思い出自分語りなど。

「桃色核実験」で文章を学んだ少年時代のこと

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