【悩み】直前キャンセル癖の科学的理由と対策
皆さんは予定を立ててから直前になると「やっぱりキャンセルしよう」と思ったことはありませんか?
当初は意欲に燃えていた行事やタスクを、時間が経つにつれキャンセルしたくなるこの現象は一体何が原因なのでしょうか。
直前のキャンセル癖には、心理的・神経科学的な理由があることがわかっています。
私自身、直前になって”やっぱりやめた”とキャンセルしてしまうことがよくありました。これを改善しようと対策をあれこれ調べたので共有したいと思います。
理由1:心理学的理由
達成動機と失敗回避動機のバランス
心理学的な理論によれば、人は「目標を達成したい」という達成動機と「失敗を避けたい」という失敗回避動機を持っています。
失敗回避動機が強い人は、うまくいかない時に「自分に能力がない」と否定的に捉える傾向があります。そのため目標達成に向けた行動を簡単にキャンセルしてしまうのです。
一方、達成動機が強い人は「努力不足が原因」と考え、失敗を乗り越えようとします。達成動機が高ければキャンセルしづらくなります。
目標に対する情熱の低下
目標設定理論では、明確な目標を設定することでパフォーマンスが向上すると説明されています。
しかし、時間の経過とともに、その目標への情熱や意欲が薄れがちです。目標が曖昧になれば当初の動機付けが低下し、結果としてキャンセルに至ります。
理由2:報酬系の変調
また、直前キャンセル癖には脳内の報酬系の変調も関係しています。報酬系とは、快楽を感じたり新しい行動への意欲を引き起こす神経経路のことです。
予定の時間が近づくにつれ、不安やストレスから同経路が過剰に活性化されます。すると報酬系のバランスが崩れ、当初抱いていた意欲が減退してしまう可能性があるのです。
ゴールが目の前に来たことで期待と不安が入り交じり、心理的過剰負荷が生じて意欲低下に繋がると考えられています。
このように、直前キャンセル癖は忘却の枷による意識の希薄化と、報酬系の乱れによる意欲低下が主な要因と考えられています。
主な対策
1.目標の意味を定期的に振り返る
予定や目標を立てた当初の気持ちを定期的に思い出し、なぜそれが大切なのかを意識的に考え直すことが大切です。忘却の枷に打ち勝つために、目的意識を常に新しく保つ努力が必要となります。
2.段階的に実行する
目標を大きな一つの山と考えるのではなく、小さな段階に分解して実行することをおすすめします。こまめに小さな達成感を味わうことで、報酬系を適切に活性化できます。
また、中間の目標もしっかり設定することで、最終ゴールに向かうモチベーションの源泉を維持できます。
3.客観的に自己モニタリングする
自分の気持ちを第三者的に観察し記録することで、キャンセル癖に気づきやすくなります。気分の変化をメモするだけでなく、行動の理由も書き留めましょう。
自分自身の癖やパターンに気づくことが、対策を立てる第一歩になります。
おわりに
直前キャンセル癖は、誰にでもある程度起こりうる心理的現象です。しかし、その背景にある科学的理由を理解し、意識的な対策を立てることで、乗り越えられるはずです。
私自身この行動パターンで何度も自分に嫌気がさすことがありました。
同じ悩みを抱える方たちもいるかと思います。自分なりの工夫を重ね、大切な予定を乗り切る力を身につけられるよう、お互い頑張っていきましょうね。
参考文献
『7つの習慣』Stephen R. Covey (1989)
『Affective neuroscience of pleasure』Berridge, K. C., & Kringelbach, M. L. (2008)
『Predictors of academic procrastination in college students』Saddler, C. D., & Buley, J. (1999)
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