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負けに不思議の負けなし

#コンヒラ #華西村

華西村が凋落しているそうです。
華西村は、私が15年前に毎月のように通っていた村で、当時千名の村民に対し、出稼ぎ者1万人が外から入ってくる金持ち村で、村民全員で資金を出し合って株主をしながら集中投資し、儲けも株主の村民で配当しあう村営企業群体です。当時、この村には香港からも投資が入り込み更に次々と工場が投資されていたことを覚えています。

ところが、ふと華西村が凋落しているという記事が目に入り、驚いて記事を見ると「なるほど」という内容でした。
ものすごく貧乏だった華西村を金持ち村にかえた呉仁宝というリーダーがいました。その方は村人と話し合い、まじめに一生懸命「農業」から「工業」にシフトし村を中国随一の金持ち村に変えながら、村民にも株主になってもらい村民の暮らしも豊かになり、社会福祉も充実した村になっていました。そのリーダーの話は、私も当時よく現地で聞いており、皆から尊敬をあつめていたそうです。すばらしいリーダーがいたのだと感心して聞いた記憶があります。

私が良く通っていた15年前は、第一世代のリーダーは引退され、第二世代のリーダーたちが運営していました。その時の私の印象は「勤勉」「努力家」「猛烈に働き続けている」という戦後復興時の日本のような風景でした。正直、「こりゃ、成長するわけだ」と感心したのを覚えています。それほど、村民はがむしゃらに、まじめに働いていました。

ところがリーダー亡き後、ドンドン金持ちになりながらリーダーが世代交代し、おそらく今は第3世代のリーダーになっているのだと思います。会社は初代が大きくし、二代目が維持し、三代目が食いつぶすとよく言いますが、記事をみると華西村も典型的な三代目の放蕩生活で凋落したことが分かります。
また記事をみると、三代目リーダーに誰も諫めることができず、またお金の使い方も隠されていたのだと思います。その結果、ドンドン三代目が裸の王様になり、とりまきも太鼓持ちだけになったのだと思います。

私はコンヒラで2代目ですが、当社は財務内容は全て開示し、「ガラス張り経営」なので経営者と言えども経費は丸裸で見られています。そのため会社のためになるお金の使い方なら納得してもらえますが、明らかに個人の欲のためにつかったと思われるお金は容赦なく説明を社員からも求められます(とくに管理部門から)

また当社では「社長がいったから通る」こともありえず、おかしければ会議でもキチンと言ってもらえ、社長も説明しなければいけません。
しかもそれは秘密会議ではなく、概ね会議の中か、事務所の中で普通に社員の中で話すようにしています。(よほどデリケートな内容で検討段階は伏せることもありますが、できるだけ速やかに朝礼などで背景と合わせて説明します。)

歴史をみれば、未来が見えると言いますが、華西村の記事を見て、これほどわかり切った失敗が、見事に繰り返されるのは、それほど人間の独占欲、顕示欲を押さえることが難しいということもよくわかります。
当社が人事評価制度も次々開示を進めるのは、全く同じ理由からで、会社は目標と価値観を明確にするだけではなく、同時に情報と意思決定プロセスをキチンと開示して初めて成長を全員参画で維持できるのだと信じています。今は取引がありませんが、すくなくとも第2世代の華西村の人たちにはとてもお世話になったので、是非踏ん張って復活していただきたいと思います。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしby松浦清(肥前国第9代平戸藩主)

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