見出し画像

安全運転

初冬の夕暮れが迫る頃、私は田舎道で一人車を運転していた。
コインランドリーに預けた洗濯物を取りに行こうとしてたのだ。

行きは遠回りで行ったので、帰りは近道をしようと、何度か走った事のある農道を通ろうとした。

「あ、対向車が来た。避けなきゃ」
私は対向車を避けようと、車にを少し広い場所である右に避けた。

そして車はゆっくりと動きながら突然
「ドスン!」と言う音がした。

その瞬間、何が起こったのかわからなかったが、運転席の私の身体が45度傾いた。
農道の水平線が傾いて見える。

事の重大さに気づいた。
「事故った」

取り敢えず、車のエンジンを切ろう。
そう思い、エンジンを切る。

そして、運転席のドアが開かない。
ここで急に自分の鼓動が早くなるのがわかった。不安な思いを断ち切るように、反対側の助手席側から降りる。
車から脱出するのも一苦労である。
そして、降りた瞬間に派手にコケる。

周囲を確認し、向かいの車に手を振り、助けを求める。

「すみません!助けて下さい!」

こんな助けを呼ぶのに大声を出したのはいつ以来だろうか?

対向車の人が来る前に、車を見る。
思いっきり側溝にタイヤがハマっている。

対向車に乗っていたガタイの良いお兄さんが駆けつけて、まるで映画のワンシーンのように、男二人で車を持ち上げて押そうとする。
ところが、膝より深い側溝の深さまでハマったタイヤを持ち上げるのは無理であった。

その後、お兄さんが近くの車の修理工場まで走り、店長を呼ぶ。幸運にも現場の近くに車の修理工場があったのだ。

店長は風呂に入ろうとしていた所だったそうだ。
その店長を呼び、現場に戻る。車の状況を確認し、手持ちの道具で何とか車を助けようとするが、道具が足りないらしい。

町中の大きなお店に助けを呼ぼうとすると、最低でも2時間は掛かるそうだ。ロードサービスもこの夕暮れ時、かつ街外れの田舎道に来てくれるかは怪しいそうだ。

この寒空の下、凍えながらずっと待つ泣きたくなるシーンにならないように祈るしかない時間が続く。

その後、修理工場の店長が近所の家から板を借りてきて対処をすることにした。
ジャッキで持ち上げ、板を挟んで、車を人力で持ち上げる。
そしてまたジャッキで・・・
これを繰り返し、少しずつ車を持ち上げる作戦である。

そしてこの作戦が何とか功を奏し、車が少しずつ水平に持ち上がって行く。

かなりタイヤが持ち上がったところで、車を何人かで持ち上げて、車をバックさせる。

そうすると、タイヤが側溝から出て、道の真ん中に戻った!
ありがとう。本当にありがとう。
この時の私は感謝の気持ちしか沸き起こらなかった。

そして車の方を改めて確認すると、奇跡的に無傷で済んだ。恐らく、スローモーションのように車が傾いていったのが不幸中の幸いで、車の下を傷つけるような事もなかったようだ。

私の手は、車を持ち上げた時に少し負傷したが、正直これぐらいで済んで良かった。

今回の教訓として、農道では決められた場所以外で車を避けない。これに尽きる。
下手な避け方をすると、私のように大変な事になってしまう。

また、道が雑草だと思ったらその下が水路の場合がある。
道路脇は特に注意して進まなければならない。

こう教訓のように書いてみたが、冷静に読んでみると当たり前なのである。
そして、迂闊に行動するのは本当に良くないと改めて思う次第である。

あと、相手が譲ってくれているのに、それに甘えずにどうする?
素直に気持ちを受け取る事も時には必要だ。

遠慮のかたまりが、今回の事故を招いたのだからこのようにも考えてしまう。素直に自分から避けずに進めば良かったのだ。

このように多くの反省が湧き出てくるが、身体が無事だったことが何よりも幸いなことだった。

まだまだ生かされてるのだと思い、一歩一歩進むしかないのかなと思う。

そして今日、また別の車の修理に出す日だった。
何だかんだで、同じような事をやらかしているのだなと運転しながら改めて考えた。

車も日常も安全運転と行きたいものだ。


最後まで読んで下さり、ありがとうございます! スキやフォロー、サポートをして下さると嬉しいです。 毎日更新の励みになります!