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短い回送電車

遅い時間に京王線に乗ろうと駅のホームで待っていると、2両編成の回送電車がやってくることがある。これが、なんとも愛らしい。
10両編成用のホームの先頭部分にちょこんと停まっているのを見ると、つい小動物を思い浮かべてしまう。

しかし、なぜこんな短い回送電車が。
夜も遅いのでてっきり運転手さんの教習用なのかと思っていたのだが、今日もそれを目にしたことで思い立って調べてみると、東府中駅と府中競馬正門前駅を結ぶ「競馬場線」の回送電車らしい。2つしかない駅の間を行ったり来たりするだけなので、2両編成というわけだ。

ほぼ全員を同じ目的地(レジャー施設や観光地)に運ぶための路線というのは、なんとなく車内にワクワク感があって私は好きである。
西武遊園地駅と西武球場前駅を結ぶ西武山口線や、有馬口駅と有馬温泉駅を結ぶ神戸電鉄有馬線などに乗ったことがあるが、その時に強く感じたものだ。特段鉄道好きというわけではない私なので、きっとお好きな方はもっと色々な路線をご存知のことだろう。

ただ、しばしば「レール」が「人生」に喩えられることを鑑みれば、皆が同じ方向を向いて、同じ目的地に向かうことは必ずしも褒められたことではない…などとつい思ってしまうのもまた、私の悲しい性。ターミナル駅に乗り入れれば目の前の道は開けるし、小さな駅が点在する路線ならばそれぞれの個性が光る。
もっと言えば、予め決められたルートに沿ってしか走れない鉄道やバスよりも、運転手さんの豊かな知識と経験でルートが決まるタクシーや、自分で道を切り開いていかないといけない自家用車の方が好きだったりもする。

好きな乗り物と人生観を結びつける心理テストがあるとすれば、それはどんなものだろうなぁ、などとぼんやり考えたのであった。

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