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相続税の「税務調査」はいつ来るの?行われやすい時期とは

税務調査とは『相続人が申告した相続税の内容について、税務署が申告漏れや計算ミスがないかを確認しに来ること』を指します。

実施される割合は約10%、つまり、申告した人のうち10件中1件が調査されるというデータがあります。

恐らく、多くの方が
「相続税の税務調査がいつ頃くるのだろうか…」
「私は調査の対象になってしまうのだろうか…」
と不安に感じていると思います。

そこで本記事では、相続税の税務調査のいろはについてわかりやすく解説していきます。これから取り掛かる方も、申請したものの税務調査がいつ来るか分からず不安になっている方も本記事を読むことで安心した日々を過ごしてもらえたら幸いです。


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1.相続税の税務調査とは?

相続税の税務調査とは、”相続税を正しく申告したか”をチェックするために税務署が行うことを指します。

申告額を間違えている、または故意に税を免れるために隠ぺい工作を行っているなどの疑いがあれば、その都度税務署職員による確認の調査や証拠書類の提出などを求められ、実際に申告内容に漏れや不備が確認されれば修正申告等を促して是正されます。

所得税の税務調査と比べ、相続税の税務調査では非常に大きな金額が動くため、より慎重に調査される可能性があります。

1-1.調査の内容

税務署は、相続税の申告内容の他にも相続に関わるさまざまな情報を入手することができます。
例えば、

  • 預貯金の流れ

  • 不動産の保有状況

  • 株式や国債などの保有状況や履歴

  • 生命保険

などです。相続税の申告内容とこれらの情報との間にズレがないかをチェックし、疑問や不審があると調査に入ります。

この調査は、大きく2種類に分けられます。

1)任意調査
任意調査とは、調査対象となる人に対して事前に税務署から連絡があり、調査日時を決めて行われます。
場合によっては通帳や土地の権利証などの書類を提示しますが、基本的には税務署員からの質問に対して相続人が答えるというかたちで行われます。
ここで注意していただきたいのが、「任意」調査ですが、基本的には断ることはできません。もし強硬に断ると次に解説する「強制捜査」に入られてしまう可能性があります。

2)強制調査
強制調査は、任意調査を拒否した人や、明らかに悪質な脱税が疑われる人などに対して行われます。
事前に連絡はなく、抜き打ちで自宅などに調査に入ります。
しかし、強制調査が入る事例は非常に稀なことであり、多くは任意調査で解決しています。

1-2.調査を受けやすい人とは?!

ここで、相続税の税務調査を受けやすい人を紹介します。

①   申告書に不備がある人
申告書の内容にもれがあったり、不審な点があると税務調査が入る可能性があります。

②  納税額が高い富裕層
税務署は調査対象を選定するために富裕層を管理する独自のデータを持っています。そのため、蓄積されたデータから総資産額の予想を立て、その予想と実際の申告書を比較した時に差が生じている場合に税務調査が入る可能性があります。

  金融資産を多く相続した人
相続する資産として金融資産と不動産資産の2種類が挙げられます。この二つを比較すると不動産資産は解釈論である土地や不動産への指摘が難しいため、金融資産を多く相続した場合の方が税務調査が入りやすい傾向にあります。

④   自分だけで相続税の申告をした人
相続税の申告書には税理士の名前を記入する欄が設けられています。しかし、ここを空欄にして申告した場合、資格を持たない人が税理士をつけずに自己申告をしたとして、調査対象になりやすい傾向があります。

⑤   相続税がかかるのに申告をしていない人
相続税の申告の必要があるにもかかわらず申告をしていない人(無申告者)も税務調査の対象となります。

2.税務調査が来やすいのは申告から1~2年後!

相続税の申告をした人は、申告後税務調査がいつ行われるか分からないまま生活をしなければなりません。

「もし強制捜査に入られたら…」
と不安を抱きながら生活するのは誰しもが避けたいことです。

しかし、相続税の税務調査が入る時期には傾向があります。それは、

相続税申告後「6カ月~2年の間」

です。

もっとも、1年の内では8月から12月と言われています。申告書を提出してから最初の8月から12月に来る可能性が一番高く、次に2年目の8月から12月、3年目の8月から12月・・・と続きます。

相続税の税務調査が入る可能性のある期間は申告“期限”より5年以内と定められているため、2年目以降は可能性が徐々に低くなると考えられています。

3.税務調査に時効はある?

原則として、税務調査の期間は申告“期限”より5年以内となっています。しかし、悪意のある申告漏れや脱税をしているとみなされた場合は、時効が7年に延長されるという例外があるため、正確に申告するようにしましょう。

ただし、申告期限から5年/7年が経過し、その間に税務署からの指摘が無かった場合、仮に時効後に不備が見つかった場合でも税務署は課税を請求することはできなくなります。

4.税務調査にもコロナの影響が!?

令和3(2021)年12月16日、国税庁が発表した『令和2事務年度における相続税の調査等の状況』によると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、相続税の実地調査件数(訪問・対面などによる税務調査)が約5割減少したとの統計が明らかになりました。

しかし、新型コロナウイルスに適応した暮らしが整ってきた今、実地調査はコロナ禍前のように行われています。更に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)化により、データ分析は以前より着実に進んでいます。これが意味することはつまり、コロナ禍を越えた今、以前よりも多くの人が調査対象になる可能性が出てきました。

ですが、正しく申告をし1-2で紹介した「調査を受けやすい人」に該当しない限り、調査を受ける心配する必要はありません。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。調査と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、あくまでも“正しく申告”していれば対象にはなりません。

税務調査は、贈与税や所得税、法人税などさまざまな税金の申告に対して行われていますが、中でも相続税の場合は非常に調査の対象になりやすくなったため、申告数の約10%に対して調査が入ります。
つまり、10件に1件は調査されるということです。

相続税は比較的高額なため、申告漏れがあるとその金額も大きくなることが多いため、確率が高くなっています。しかし、相続は一生に何度も経験するものではなく、申告慣れしていない人がほとんどです。そのため相続税の申告をするときはより慎重になる必要があります。

この機会にもしもの時に備えて予めご準備しておくことをおススメします。