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1997年9月25日(木)
岩山を円錐に穿ったようなところをトロッコ─一両にふたり乗り─で時計回りに下りていた。崖ギリギリの軌道だけど底を見ることができなかった。何両編成かわからないが、わたしは一番後ろだったようだ。
慎重なスピードではあっても、なにしろもの凄い際を走っているんだからスリリングだった。
危険だが無事切り抜けられると感じていた。でも、何か起こるとも思った。

トロッコは底へ、底の泉にたどり着いた。と、そのとき、たったいま通ってきた場所に大きな岩が落ちるのを見た。丸い大きな岩が二つ三つ。
やっぱり。
戻るときはどうするのだろう。
わたしの正面にいた女の人が青ざめていたので、その人の手をそっと包んで、「大丈夫。よかったね」と声をかけた。
帰りはともかくとして、岩の下敷きにはならなかったんだ、よかった。

泉は、透明だった。

泉で、誰かが溺れた。
溺れた人を助けに、泉に入った赤い服の少女が石に挟まって動けなくなり、溺れかけたが、抜け出すことができた。
あとのことは全然わからない。

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